外国語が話せると脳にいい7つの証拠

2つ以上の言語を話せると、別の国への旅行もしやすいし、交流できる相手の範囲も広がる。別の文化を理解しやすいし、それを通して自分の国の文化への理解も深まる。なんといっても、レストランで食べたいものがちゃんと食べられる。
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Tuomas Kujansuu via Getty Images

2つ以上の言語を話せると、別の国への旅行もしやすいし、交流できる相手の範囲も広がる。別の文化を理解しやすいし、それを通して自分の国の文化への理解も深まる。なんといっても、レストランで食べたいものがちゃんと食べられる。

けれども、こうした利点のほかにも、複数の言語を話せると、その人の健康、特に脳の健康に良い影響があるとする研究結果はたくさんある。バイリンガルの人たちがどのような点で優れているのかを以下で紹介しよう。

「認識の柔軟性」が高い

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子供の頃から2つの言語を話してきた高齢者は、1つの言語しか話さない人(モノリンガル)と比べて、認識の柔軟性が高い。つまり、新しい状況や予期しない状況に直面しても、流れに乗るのがうまいという。

『The Journal of Neuroscience』誌に掲載されたこの研究では、60歳から68歳の被験者たちに、認識の柔軟性を必要とする作業を行ってもらった。モノリンガルの人とバイリンガルの人のどちらも作業を完了させることはできたが、バイリンガルの人たちの方が作業を早く完了し、作業を行うために使われる脳の部位が消費するエネルギーも少なかったという。

高齢になっても脳が衰えにくい

バイリンガルの人は、高齢になっても脳が衰えにくい。さらにいいことに、このことは、人生の後半期に第2言語を学習した人々にも当てはまるという。

『Annals of Neurology』に最近掲載された研究は、11歳のときに知能テストを受けた英語のネイティブスピーカーを追跡調査したもので、彼らが70代前半になったときに、もう一度テストを受けてもらった。その結果、2つ以上の言語を話す人々は、モノリンガルの人々に比べて、特に一般的知識と読解力の点で認識能力が高かったという。

一部の単語を、モノリンガルの人よりすばやく処理できる

『Psychological Science』誌に掲載された研究によれば、2つの言語を話す人々は、一部の単語をより速く処理できるという。このことが特に当てはまるのは、その単語が2つの言語で同じ意味を持っている場合だ。

研究チームがアイトラッキング技術を利用して調べたところ、バイリンガルの人たちは「同根語」を見る時間が短かったという(ここで言う同根語とは、英語とオランダ語の「sport」のように、2つの言語で同じ意味を持つ単語のことだ)。『サイエンティフィック・アメリカン』はこの研究について、バイリンガルの人たちの方が、こうした単語を処理するために必要な時間が短くて済むことを示唆するものだと説明している。

アルツハイマーになっても、症状の進行が遅い

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アルツハイマー症にかかるリスクは誰にでもあるが、バイリンガルの人々は、モノリンガルの人と比べて、症状の進行が4~5年遅くなる可能性があるという。

これは、アメリカ科学振興協会の学会で2011年に発表された研究結果だ。この研究の対象者は450人のアルツハイマー症の患者で、その半数が、生涯のほとんどをバイリンガルとして過ごしてきた人たちだった。

子供のときから問題解決能力に優れている

『International Journal of Bilingualism』誌に掲載された研究によれば、バイリンガルの子供は、問題解決能力と創造性が試される作業を、より巧みにこなせる可能性があるという。

この研究に参加した121人の子供のうち、およそ半数がバイリンガルだった。子供たちは、ひと続きの番号を反復したり、算数の問題を頭の中だけで解いたり、色の組み合わせを再現したりといった作業を行うよう求められた。

彼らの脳は切り替えが得意

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バイリンガルの子供たちは、作業の切り替えが速いと見られる。子供の発達を調べたこの研究では、バイリンガルの子供たちとモノリンガルの子供たちに、コンピューター画面上で「動物の画像」か「色の画像」を見てもらった。子供たちに対し、「動物の画像」を見たらボタンを押して「色の画像」に切り替えるように指示したところ、バイリンガルの子供たちの方が、モノリンガルの子供たちより速く画像を切り替えられたという。

別の言語で考える能力を活用して、より適切な判断を下せる

何かの問題が起こっている状況では、別の言語で考えた方が合理的な判断を下せる可能性が高いことが、2012年に発表された心理学の研究で示されている。

人は何かを失うことを嫌がる性質を持っているため、たとえ、正反対の決断をした方が勝ち目がある場合であっても、目先の損失が最小限に抑えられるような判断を下しがちだ。だが、シカゴ大学の研究チームによれば、外国語で問題を検討すると、その問題から距離を置けるようになるため、慎重で、感情に流されない対応がしやすくなるという。

「この効果における最も重要なメカニズムはおそらく、外国語の方が、母語よりも感情的にならずに反応できることだ」と、この研究に参加した研究者サユリ・L・ハヤカワ氏はリリースの中で述べている。「感情的に反応すると、期待よりも恐怖に駆り立てられた判断を下しがちになる」

[Amanda L. Chan(English) 日本語版:佐藤卓、合原弘子/ガリレオ]

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