ハワイ島「新しい遺伝子組み換え作物の栽培禁止」法案可決

ハワイでは長年にわたり、シンジェンタ社やモンサント社、DuPont Pioneer社、ダウ・ケミカル社、BASF社などの巨大企業による遺伝子組み換え作物(GMO)栽培の実験が行われてきた。
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ryan burke via Getty Images

ハワイでは長年にわたり、シンジェンタ社モンサント社DuPont Pioneer社ダウ・ケミカル社BASF社などの巨大企業による遺伝子組み換え作物(GMO)栽培の実験が行われてきた。

こうした企業は、オアフ島カウアイ島モロカイ島には農場を持つが、ハワイ諸島で最大のハワイ島にはまだ農場がない。そして同島では今後も、実験用農場は建設されない可能性がある。

「Honolulu Civil Beat」の記事によると、ハワイ郡(ハワイ島の行政区名、人口約19万人)の議会で11月19日(米国時間)、「同島におけるバイオテクノロジー企業による農場運営、および新しい遺伝子組み換え作物の栽培をすべて禁止する法案」が6対3で可決したという。

この法案では、違反者には1日当たり1000ドルの罰金を科すとしている。ただし、同島ですでに200を超える農場で栽培されているパパイアについては例外としている。

ハワイ島のビリー・ケノイ郡長は、同法案に対する見解をまだ示していないが、法案通過後10日以内は拒否権がある。一方議会側は、議員6人の票で郡長の法案拒否を覆すことができる。

ハワイ諸島のカウアイ島では最近、バイオテクノロジー企業の活動を厳しく規制する法案が、郡長の拒否権を議会が覆す形で通過している。

米国では、すでに多くの人が日常的に遺伝子組み換え食品を摂取している。米国で栽培される作物に占める遺伝子組み換え作物の割合は、トウモロコシでは90%、大豆では95%だ。

ハワイ郡議会における同法案の議論は激しいものだった。遺伝子組み換え作物の批判者たちは、こうした作物は、癌や奇形児、腫瘍、不妊、そしてさらには大規模な自然破壊をも引き起こす可能性があると主張している。

いっぽうで、米国医師会や、米食品医薬品局(FDA)などの米国連邦機関は、認可された遺伝子組み換え作物が人体に有害であることを示す証拠は得られていないと主張している。

ハワイ農業局のディーン・オキモト局長はHonolulu Civil Beatの記事で、「この法案は巨大企業をターゲットにしているが、結局は小規模農家を苦しめることになる可能性がある」と述べている。「これからもずっと、今栽培している作物だけを栽培できる、などとどうしていえるだろうか? 将来生産してよい作物の種類を制限されることで、廃業に追い込まれる農家も現れる可能性がある。牧牛業者は、乾燥に強い牧草の開発も行っていく必要があるはずだ」と、オキモト局長は述べている。

同法案の内容が過激に思われる人もいるかもしれないが、実はハワイ群ではこれまで、これよりも厳しい2つの法案が議論されていた。ひとつは、すでに同島で栽培されていたパパイアも含めてすべての遺伝子組み換え作物の栽培を禁止し、違反者には懲役刑が科せられるというものだった。

「この法案は本当に穏当なものだと、私は以前から主張し続けている」と、同法案を議会に提出したマーガレット・ウィリー議員はHonolulu Civil Beatに述べている。「私が提案したのは、現状を維持しようということだ」とも述べている。

ウィリー議員は、ハワイ島の状況について次のように述べている。「我々は岐路に立たされている。バイオテクノロジーを利用したモノカルチャー型の農業を進めていくか、様々な品種を栽培する、生態系に配慮した農業を目指していくかのどちらかだ」

[Chole Fox(English) 日本語版:丸山佳伸、合原弘子/ガリレオ]

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