ブロモドメインによってクロマチンの修飾を読み取るBRD4などを標的とするBET阻害剤は、がんの治療薬候補として性質が調べられている。
今回K Polyakたちは、乳がんの細胞株と異種移植片マウスモデルのBET阻害剤に対する反応を調べ、トリプルネガティブ乳がん細胞株がBET阻害剤に反応することを見いだした。耐性が生じる可能性はあるが、薬剤排出、ブロモドメイン遺伝子の変異、既知のドライバー遺伝子などの機構が存在する証拠は見つからなかった。
その代わり、転写の変化や、クロマチンへのBRD4の結合のブロモドメインとは無関係な増加が起こり、それと同時にBRD4のリン酸化が亢進することが分かった。
これらの結果は、最近Natureに報告されたM Dawson、あるいはJ Zuberの研究チームの異なるがんを扱った2つの研究と共に、BET阻害剤に対する臨床反応を改善できそうな方法を示唆している。またNews & Viewsでは、J Settlemanがこれら3つの論文について論じている。
Nature529, 7586
2016年1月21日
原著論文:
doi:10.1038/nature16508
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