「 ヒラリーを支持せよ、でなければ民主党は破滅だ」批判続けたサンダースも呼びかけ

民主党全国委員会にとって、これ以上の演説は望めなかったであろう。
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Former Democratic Presidential candidate, Sen. Bernie Sanders, I-Vt., speaks during the first day of the Democratic National Convention in Philadelphia , Monday, July 25, 2016. (AP Photo/Paul Sancya)
ASSOCIATED PRESS

バーニー・サンダース上院議員 (無所属・ヴァーモント州) は7月25日夜、民主党全国大会(DNC)での演説に向け、彼がこれまで決して望まなかった難しい任務を背負ってウェルズ・ファーゴ・センターに入った。それは情熱的で不満が蓄積した自らの支持者たちを、ヒラリー・クリントン氏の旗の下に結集させるという仕事だ。 サンダース氏は予備選を通じて、クリントン氏を痛烈に批判してきた。

サンダース氏が演説を始めるまで、DNCの初日は波乱続きだった。フィラデルフィア市役所の外で反クリントンの抗議をするサンダース氏の支持者や、サンダース氏が解体しようとしていた金融機関の名前が付けられたアリーナに熱弁を振るいながら入場する代議員たち。開会前の祈りの時間には、「バーニー! バーニー!」のシュプレヒコールが起こった。サンダース氏にイデオロギー的に最も近い同志、マサチューセッツ州選出のエリザベス・ウォーレン上院議員の演説中でさえも、散発的に抗議の声が聞こえた。その直後、サンダース氏自身がスピーチをした。

サンダース氏の登場で、その夜は政治革命の炎が最後の勢いを見せ、さながらお祭り騒ぎとなった。それはサンダース氏自身を民主党の大統領候補に押し上げるほどまで力強くはなかった政治革命の機運だった。

サンダース氏は、「アメリカを変えるために政治革命を始めたが、革命は続く」と語った。サンダース氏が民主党の政策綱領で彼のチームが勝ち取った政策変化の詳細を自分の支持者に告げると、その夜のほとんどの時間アリーナを覆っていた緊迫感はしだいにお祝いムードへと変化した。

「40年にわたる中産階級の衰退、そして4700万人の男女と子供たちが貧困状態にある現実を終わらせる選挙なのです」と、サンダース氏は言った。「これは、私たちが経済を変えなければ若い世代の人々の生活水準は両親よりも低くなると理解する選挙です。これは私たちの国にある異様なレベルの収入と富の不平等を終わらせることに関する選挙なのです」

サンダース氏は、支持者と、「前代未聞」ともいえる800万件の個人献金に、感謝の言葉を述べた。「寄付の平均額を知っている人はいますか?」

その質問に答える準備がすでに整っている会場は、声をそろえて熱い返事を返した。「27ドル!」

この1年あまり熱弁をふるってきた、いつものテーマを取り上げ支持者に訴えた後、サンダース氏はアプローチを切り替え、そうしたテーマを献身的に支持しているのがクリントン氏だと述べた。サンダース氏は、共和党が言及を避けている一方、自身とクリントン氏が共に取り上げた、学費の負債、刑事司法制度、最低賃金の引き上げ、気候変動といった課題について1つ1つ語った。

サンダース氏は、2人とも「誰にでも平等にチャンスがある国を築くこと」を目指し協力すべきだと信じていると語った。サンダース氏は、アメリカのすべての労働者が最低限の生活水準を維持できる賃金を必ず手にすることを目指してクリントン氏は闘うと言った。また批判を集めている最高裁判所のシチズンズ・ユナイテッド判決(企業に無制限の政治献金を認める判決)を覆す最高裁判事の指名を約束した。

「必ずヒラリー・クリントンをアメリカの次期大統領にしなくてはいけません」と、サンダース氏は語った。「迷うまでもありません」

クリントン氏を全面的に支持した上で、サンダース氏は両者の違いも指摘した。

「ヒラリー・クリントンと私がいくつもの点で異なる意見を持っていることは周知の事実です」と、サンダース氏は語った。「ですが、民主党綱領委員会では両陣営が大きく歩みより、民主党始まって以来間違いなく最も革新的な政策を築くことができたことを喜ばしく思っています。さまざまな対策を強く求めていく中、民主党は主要な金融機関の解体と21世紀のグラス・スティーガル法(1933年に制定された、銀行・証券業務の分離を定めた連邦法)への道を求めていきます。また職を奪うTPPなどの自由貿易協定に対しても強く反対していきます」

サンダース氏の発言を受け、会場は「TPPはいらない!TPPはいらない!」の大合唱となった。サンダース氏は、バラク・オバマ大統領によって締結された環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)が停滞した議会で議決されることがないよう、アドリブで呼びかけた。

彼は「私たちがこれからしなければならないのは、民主的な上院議会、民主的な下院議会にすることです。そしてヒラリー・クリントン大統領の下でその政策を実現させることであり、私はそれを達成するためにすべてを尽くします」と付け加えた。

民主党全国委員会にとって、これ以上の演説は望めなかったであろう。

ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。

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