サンダース氏に若年層はなぜ熱狂する――格差拡大と民主党の二極分化【アメリカ大統領選】

2016年2月1日、クリントン氏が票を奪われた相手は74歳だった。
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ASSOCIATED PRESS

2016年アメリカ大統領選挙に向けた2月1日のアイオワ州の党員集会で、民主党は最終的にヒラリー・クリントン前国務長官が、非常にわずかな差で勝利した。しかし候補2人を統計から分析すると、その差はわずかではない。クリントン氏は年配層に人気がある。1980年代から2000年代に生まれた「ミレニアル層」は、バーニー・サンダース氏を愛している。

党員集会の出口調査を見ると、クリントン氏は45歳以上の層でサンダース氏を上回った。調査はまた、30歳未満はサンダース氏が70ポイントの差でクリントン氏を圧倒していることも示した。Voxのサラ・クリフが指摘したように、バラク・オバマ氏が2008年に記録した57ポイント差よりも大きい数字だ。サンダース氏はさらに、30~44歳の層でも58対37で勝利した。

いまの民主党に、ビル・クリントン氏が1990年代に大統領を務めたときのような一体感はない。当時のビル・クリントン氏は選挙に強く、彼が進めた社会福祉改革や金融の規制緩和、犯罪の厳罰化などは、民主党にとって最優先の政策だった。

クリントン氏の支持者は、こうした政策が、レーガン政権以降の民主党が現実を見据えるために不可欠だと主張してきた。しかし2008年のリーマン・ショックとその後の不況で、政治を取り巻く状況は変わった。今の民主党の支持基盤は、1990年代よりも遥かに、企業というものを懐疑的に見ている。共和党との合意を得て進めた犯罪厳罰化で、監獄への収容者は激増した。社会福祉改革を支持した保守的な人々でさえ、不況下では貧しい人への打撃となり、機能しないと認めている。

年配層にとっては、1980~90年代の民主党の戦いは、今の党を形作るための政治的な経験だった。彼らはヒラリー氏と民主党主流派を、共和党の容赦ない攻撃に耐えてきた象徴とみなしている。しかしサンダース氏が30歳未満でクリントン氏を70ポイント差で圧倒したことが示すのは、民主党は過去と決別しようとしているということだ。この勢力は、エリザベス・ウォーレン上院議員が反金融街の立場から立候補することを期待していた。そしてサンダース氏はその政策を取り入れた。さらにクリントン氏が、「労働者の敵」としばしば批判される大手スーパーチェーン、ウォルマートの取締役会にかつて名を連ね、金融街を擁護する政策を主張して巨額の資産を築いたことを快く思わない人々でもある。

つまり、この層の世界観は、レーガン政権の時代ではなく、金融恐慌の時代に形成されたのだ。収入の格差に怒る世代は、その問題が生まれ、固定化された世代を信用しない。

クリントン氏にとって幸運なのは、若い有権者の投票率がさほど高くないことだ。アイオワで投票した45歳以下の割合は37%だった。その結果、45~64歳の層ではクリントン氏が58対35で、65歳以上では69対26でサンダース氏を上回った。

2008年、クリントン氏にとって最大の難関は、イラク戦争の開戦に賛成票を投じたことだった。今回、クリントン氏の立候補は、民主党主流派が抱える問題を典型的に示している。すなわち民主、共和両党のエリートたちがまだ浸透できていない、金融恐慌がきっかけで政治に怒っている層にどうやってアピールするかという問題だ。サンダース氏はそれを成し遂げた。

8年前のクリントン氏だったら少なくとも、若い候補者に若者の票を奪われたと自分を慰めることもできた。しかし2016年2月1日、クリントン氏が票を奪われた相手は74歳だった。民主党のエリートたちは脅威に感じる必要はない。なぜならサンダース氏が示したのは、年配層ですら、金融街、独占資本に強硬で、汚職追放を訴える層と一致できるということだからだ。しかし、大企業と協調して形成された民主党の主流派に調整する意思があるのか、それは難しい問題だ。

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この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。