ブラック企業大賞2017 大賞は「アリさんマークの引越社」

日本放送協会(NHK)は「ウェブ投票賞」
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Kazuki Watanabe / Huffpost

パワハラや残業代未払いなど、法令違反の企業について伝え、安心して働ける環境づくりをめざす「ブラック企業大賞」。12月23日に都内で授賞式が開かれ、2017年度の大賞は「株式会社引越社・株式会社引越社関東・株式会社引越社関西(アリさんマークの引越社)」に決まった。

ほかの受賞企業は次の通り。

業界賞「新潟市民病院」

特別賞「大成建設・三信建設工業」

ブラック研修賞「ゼリア新薬工業」

ウェブ投票賞「日本放送協会(NHK)」

実行委員会の佐々木亮弁護士は「今年は過労死や長時間労働が多く報じられた。報道で、社会に問題が明らかになるのはいいことだ。しかし、我々がしなければいけないのは、そういう事件や事故そのものをなくしていくことだ」と話した。

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ブラック企業大賞2017の授賞式で、賞状を手渡す実行委員会のメンバー
Kazuki Watanabe / Huffpost

ジャーナリストや学者、弁護士らで作る実行委では、「ブラック企業」の定義を「労働法やその他の法令に抵触し、またはその可能性があるグレーゾーンな条件での労働を意図的・恣意的に従業員に強いている企業」や「パワハラなどの暴力的強制を常套手段として従業員に強いる体質を持つ企業や法人」などとしている。

ノミネートされたのは、裁判で企業側の非が確定したり、行政処分がなされたりと、社会的に明白に問題があるとされた企業だという。例年、ノミネートされた企業には授賞式への招待状を送っているが、今年も企業側からは出席がなかったという。

2017年度のノミネート企業は以下の9社だった。

・ゼリア新薬工業株式会社

2013年5月、新人研修中に男性社員(22)が自殺し、2015年に労災認定を受けた。研修中に「強い心理的負荷」を受け、精神疾患を発症した。

・株式会社いなげや

2014年6月、スーパーの店舗チーフだった社員が倒れて亡くなった。2016年6月に労災認定。遺族側の代理人によると、時間外労働は96時間におよび、サービス残業も行われていたという。

・パナソニック株式会社

2016年6月にパナソニックデバイスソリューション事業部の富山工場に勤務する40代男性社員が自殺。2017年2月に過労自殺と認定された。2016年5月の残業時間は100時間越えだったという。

・新潟市民病院

2016年1月、女性研修医(当時37)が自殺。月251時間も残業。2017年5月に過労自殺として労災認定。

・日本放送協会(NHK)

2013年7月、当時31歳だった女性記者がうっ血性心不全で死亡。2014年に過労が原因として労災認定された。時間外労働は月159時間に及んだという。

・株式会社引越社・株式会社引越社関東・株式会社引越社関西(アリさんマークの引越社)

営業職だった男性社員をシュレッダー係に配転したり、懲戒解雇を言い渡し、「罪状」として顔写真を張り出すなどした。都労委は、これらは労組に入ったことをきっかけにしたもので、会社の行為は「不当労働行為」と認定された。

・大成建設株式会社・三信建設工業株式会社

「新国立競技場」の工事で、三信建設工業の新人男性社員(当時23)が2017年3月に自殺し、10月に労災認定された。自殺前の時間外労働は月190時間。元請けの大成建設も、行政指導された。

・大和ハウス工業株式会社

埼玉西支社の営業職だった20代男性に違法な時間外労働があったとして、2017年6月に労基署から是正勧告を受けた。2015年5月には109時間の時間外労働をしており、2016年5月に退職を余儀なくされた。

・ヤマト運輸株式会社

2016年12月、神奈川平河町支店のセールスドライバーへの残業代未払いで是正勧告を受けた。2017年5月にはパート従業員の勤務時間改ざんと賃金未払いがあったとして、西宮支店が是正勧告を受けた。また、17年9月には博多北支店のセールスドライバーに月102時間の違法残業をさせていたとして、法人と幹部社員が労働基準法違反の疑いで書類送検されている。

発表は今年で6回目。2016年度は11社がノミネートされ、広告代理店の「電通」が大賞に選ばれていた。