2016年末で任期満了となる潘基文(パン・ギムン)・国連事務総長(71)が、翌年末の大統領選挙に立候補するのではないかとの観測が、ここ数日で急に強まっている。
5月25日、5泊6日の予定で韓国入りした潘基文氏は、ソウルで開かれた討論会で、2017年大統領選へ立候補する意思を問われ、以下のように答えた。
「率直に言って、私が大統領をするなどと、過去に考えたこともない。私はそんなことを言ったこともないのに、勝手にそんな話が出ることについて、私自身は個人的に『私が人生、一生懸命生きてきた。努力したことが評価されているな!』と自負を感じている。しかし、私がこれ(国連事務総長)を辞めて何をするかまだ考えておらず、家族の間でも意見が違う。だから私が今どうこう言うことはできない状況だ。いずれにせよ、そうしたことについては有り難く思っているし、10年間、国連事務総長をしてきたので、期待があるということは念頭に置く。来年1月1日が来れば私はもう韓国人になるのだから…韓国の市民として何をしなければならないかは、そのときが来れば悩んで決心するし、必要なら皆さんに助言を求めるかもしれない」
さらに、大統領候補としては高齢なことを問われると、
「アメリカ大統領の候補者は、民主党は70歳、76歳だ。私は10年間、マラソンを100m走のようにやってきたが、歴代のどの事務総長も私より熱心な人はいなかったと思う。1年のうち、1日も体調不良で欠勤したり、風邪で休んだりしたこともない。体力は最近は大した問題ではない」
と反論した。
これが韓国では、潘氏が2017年大統領選に前向きな発言をしたと受け取られた。
28日には、かつて金大中氏や金泳三氏と並ぶ「三金」と称された元野党代表の大物政治家・金鍾泌(キム・ジョンピル)氏をソウルの自宅に訪問、2人だけで約30分会話した。金氏は、かつて韓国中西部の忠清道を地盤としただけに、同郷の潘氏の訪問は様々な臆測を読んだ。しかし「何を話したのか」との報道陣の問いに、潘氏は「私が話すことはない。秘密の話をしただけだ」と煙に巻いた。
政治家と次々会っては、意味深な発言を繰り返す。野党幹部が苦々しく思う中、発言直後の世論調査では「次期大統領にふさわしい人物」として、潘氏が軒並みトップに躍り出た。4月の総選挙で大敗した与党・セヌリ党は、朴槿恵大統領の有力な後継者が現れておらず、仮想与党候補としての期待が高いようだ。
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