先日幕を下ろしたワールドカップ・ブラジル大会。大会を通して特に印象に残った『若き才能』に思いを寄せる。日本戦でも見事なゴールを決めたコロンビアのハメス・ロドリゲス。怪我により大会途中で出場が叶わなくなったブラジルの中心選手ネイマール。彼らはこの涙を忘れてはならない。大きなふたつの宝石。
◆ハメス・ロドリゲス(コロンビア代表)
2014年7月4日 カステロン・スタジアム(フォルタレザ)
コロンビア1 - 2ブラジル
今ブラジル大会において、リーグ戦では3得点を挙げコロンビアの首位通過に貢献。決勝トーナメントに入ると、ウルグアイ戦では2得点をあげ、コロンビアを初のベスト8に導いた。準々決勝ではブラジルを追い詰めるも及ばず。通算6得点で大会得点王となった。1991年7月12日生まれ(23歳)
◆ネイマール(ブラジル代表)
2014年7月12 エスタジオ・ナシオナル(ブラジリア)
ブラジル0 - 3 オランダ
地元開催のワールドカップ準決勝で、まさかの大量失点による敗退。その前のコロンビア戦で脊椎骨折をしたネイマールは、3位決定戦にビブスを着けてベンチ入りするも出場はせず。ブラジルはオランダに3-0で敗れる。あまりに悲しい幕切れとなった。1992年2月5日生まれ(22歳)
涙を超えてきたバロンドーラーたち
ここでは、過去に代表戦の悔しさを超えてきたバロンドーラーたちを紹介したい。
◆リオネル・メッシ(アルゼンチン代表)
2010年7月3日 グリーン・ポイント・スタジアム(ケープタウン)
アルゼンチン0 - 4ドイツ
W杯南アフリカ大会、アルゼンチンは06年ドイツ大会に続き、ベスト8で姿を消した。前回大会に続き、準々決勝でドイツに敗れ、メッシとマラドーナ監督のW杯は、屈辱的な大敗で幕を閉じた。監督に抱きかかえられ放心状態のメッシ(当時23歳)が印象的だった。
☆バロンドール : 2009、FIFAバロンドール : 2010, 2011,2012
◆クリスチアーノ・ロナウド(ポルトガル代表)
2004年7月4日 エスタディオ・ダ・ルス(リスボン)
ポルトガル0 - 1ギリシャ
ポルトガル自国開催EURO2004の決勝戦。相手は開幕戦にも当たり敗れたギリシャ。ポルトガルは、またしてもセットプレーに泣いた。若きロナウド(当時19歳)は、ピッチにたたずみ人目もはばからず涙を流し続けた。
☆バロンドール: 2008、FIFAバロンドール: 2013
◆パベル・ネドベド(チェコ代表)
2004年7月1日 エスタディオ・ド・ドラゴン(ポルト)
ギリシャ1 - 0 (延長)チェコ
ポルトガルで行われたEURO 2004では、チェコ代表のベスト4に貢献したが、準決勝のギリシャ戦で足を負傷し交代。チェコ代表はその後延長戦で敗れた。前年度のバロンドーラーがベンチで泣き崩れる姿が世界に配信された。1972年8月30日生まれ(当時32歳)
☆バロンドール: 2003
◆ロナウド(ブラジル代表)
1998年7月12日 スタッド・ド・フランス(サン=ドニ)
ブラジル0 - 3 フランス
W杯フランス大会の決勝、開催国であるフランスに敗れ涙するロナウド。決勝戦前日に胃痙攣に襲われて病院に担ぎ込まれたが、試合には強行出場。満足なプレーが出来なかった。それでも大会MVPには選ばれた。1976年9月22日生まれ(当時22歳)
☆バロンドール: 1997、2002
◆マイケル・オーウェン(イングランド代表)
1998年6月30日 スタッド・ジョフロワ・ギシャール(サン=テティエンヌ)
アルゼンチン2 - 2(延長) イングランド、PK戦4 - 3
当時イングランド史上最年少で代表デビューを飾り、最年少ゴールも記録したオーウェン。W杯フランス大会決勝トーナメント一回戦のアルゼンチン戦では、スーパーゴールを決め一躍世界的になった。試合は引き分けに終わり、PK戦で敗れた。1979年12月14日生まれ(当時19歳)
☆バロンドール:2001
◆ロベルト・バッジョ(イタリア代表)
1994年7月17日 ローズボウル(パサデナ)
ブラジル0 - 0(延長) イタリア、PK戦3 - 2
W杯アメリカ大会の決勝ブラジル戦。灼熱の太陽のもと、バッジョは怪我を押しての強行出場。試合はワールドカップ決勝史上初のPK戦となった。ブラジルがリードを保ったまま最終キッカーであるバッジョの番となるが、非情にもボールはゴール左上にはるか高くにそれた。1967年2月18日生まれ(当時26歳)
☆バロンドール:1993
◆ミシェル・プラティニ(フランス代表)
1982年07月08日 ラモン・サンチェス・ピスフアン(セビージャ)
西ドイツ3 - 3(延長) フランス、PK戦5 - 4
W杯スペイン大会、準決勝の西ドイツ戦は、1-1のスコアのまま延長戦へと突入。延長の前後半を終えて3-3の同点のまま決着はつかず、ワールドカップ史上初のPK戦になる。フランスは4-5で敗れ、プラティニは涙をぬぐう。1955年6月21日生まれ(当時27歳)
☆バロンドール:1983、1984、1985
◆エウゼビオ(ポルトガル代表)
1966年7月26日 ウェンブリー・スタジアム(ロンドン)
イングランド 2 - 1 ポルトガル
W杯イングランド大会、準決勝のイングランド戦。イングランドのエース、ボビー・チャールトンに2得点を決められるも、ここまで無失点を続けてきたイングランドに、エウゼビオの意地のPKが決まる。試合はそのまま動かず、エウゼビオは泣き崩れる。1942年1月25日生まれ(当時24歳)
☆バロンドール:1965
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◆『フットボールde国歌大合唱!』(東邦出版)いとうやまね著
スタジアム中にこだまする国歌斉唱。ネイマールが思わず涙するブラジル国歌、伊達男たちが情熱的に歌い上げるイタリア国歌、歌詞がないのに客席はハミングのスペイン国歌......。国歌にまつわる歴史やエピソードを満載。ワールドカップ、欧州選手権、オリンピックをはじめとする国際試合の必読書。
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◆いとうやまね
ライターユニット(いとうみほ+山根誠司)。著書には、『フットボールde国歌大合唱!』『サッカー誰かに話したいちょっといい話』(東邦出版)、『プロフットボーラーの家族の肖像』(カンゼン)、『蹴りたい言葉~サッカーファンに捧げる101人の名言』(電波実験社)、他がある。サッカー専門誌、フィギュアスケート専門誌のコラムニストとして、またサッカー専門TV 番組、海外サッカー実況中継のリサーチャーとしても活動。スポーツ以外の執筆も多数。