B-CASカード、不正利用で摘発 経緯まとめ

不正B-CASカードを販売している男が逮捕されました。今後は、利用者も摘発や民事で訴えられる可能性があります。
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デジタルテレビを観るために必ず必要なB-CASカード。有料放送の契約情報などを書き込んで管理する機能を備えているが、この仕組みを悪用した不正なB-CASカードが、インターネットを通じて販売されている。

19日、不正なB−CASカードを販売した男4人が逮捕された。警視庁サイバー犯罪対策課は、今後、カードの購入者も立件する方針だという。

【※続報】警視庁は不正なB-CASカードを購入、使用したとして27人を書類送検している。(2013年11月26日更新)

警視庁が販売先を調べたところ、都内に住む24歳から66歳までの会社員や自営業者、主婦など男女43人がカードを購入し、映画やスポーツなどの複数の有料放送を不正に視聴していたとして、不正作出私電磁的記録供用の疑いで一斉に検挙し、このうち27人を26日までに書類送検しました。

(NHKニュース「B-CASカード不正視聴 一斉検挙」より 2013/11/26)

真岩容疑者らは昨年9月から1枚2万円程度で不正カード6千枚以上をインターネットで販売。これまで摘発された業者で最大の1億3千万円を売り上げていた。同課は、カードの購入客も不正作出電磁的記録供用容疑で立件する方針。

(MSN産経ニュース「不正「B-CASカード」販売、4人を逮捕 1億3千万円売り上げ」より 2013/7/19)

■B-CASカードとは?

日本におけるデジタル放送対応のテレビや録画機器すべてに付属するICカード。B-CASカードなしではデジタル放送の視聴ができない。

B-CASカードは、デジタル放送受信機に同梱されているICカードです

(中略)

B-CASカードは、地上デジタル放送、BSデジタル放送、110度CSデジタル放送の番組の著作権保護、有料放送、自動表示メッセージ、データ放送の双方向サービスなどに利用されています。

(「B-CASカードよくある質問」より)

■2012年1月、不正B-CASカードがおよそ5万円で出回る

2012年1月に、突如ネット上で不正B−CASカードの販売が開始される。

今年1月に「BLACKCAS」と呼ばれるカードがネット上で発売され、2月以降は4万9800円で販売されていた。サイトでは「暗号解読版B-CASカードは、絶対のお買い得商品!カード一枚で衛星放送が半永久的に視聴できますので、持って損なし!」と、有料放送も無料視聴できることをうたっていた。

(ITmedia「改造B-CASカード販売で初の逮捕」より 2013/6/19)

■ネットユーザーたちによるアルゴリズム解析が始まる

不正B-CASカードは、正当なB-CASカードのプログラムを改ざんして作られていることが判明。2012年1月以降、ネットユーザーたちによりプログラムの解析がされた。

これにより、高額な不正B-CASカードを買わずとも、カードリーダーを買い、ネット上のプログラムをダウンロードするだけで自宅にあるB-CASカードを不正B-CASカードに書き換えることができるようになってしまった。

改変されたB-CASカードがごく一部であれば、交換する枚数が少なくて対策費用もそれほどかからないと見られていたのだが、現在流通しているほぼ半数のカードが解析されてしまった模様だ。

(中略)

少し知識のある人間が少々手を加えるだけで有料放送が見放題のB-CASカードに改変できてしまうということが問題であり、早急な対応が行われないと、有料放送を行っている放送局側がかなりの被害を受ける可能性がある。

(ITライフハック「B-CASカードの解析完了!有料放送見放題の仕組みが判明!」より 2013/5/17)

■B-CASの「解析者」たちが逮捕される

こうした動きを受けて、2012年6月にはプログラム改ざんの方法を紹介したり、書き換えソフトを提供した、いわゆる「解析者」たちが逮捕される。

男は5月ごろ、「平成の龍馬」というブログでB-CASカードを書き換える方法を紹介。同ブログで手法が“ポピュラー”になり、ICカードリーダーが各地で売り切れる事態になった。ブログはその後閉鎖されていた。

(ITmedia「B-CAS改造でブロガー「平成の龍馬」逮捕」より 2013/6/20)

■B-CAS改ざんソフト販売者は執行猶予付き判決に

さらに「裏情報の販売」という形で書き換えソフトを販売していた男も2013年2月に逮捕。5月には一審で執行猶予付き判決が出ている。

有料放送を無料で見られるように「B-CASカード」を書き換える不正プログラムをインターネット上で販売し、自身も不正カードを使用したとして、不正競争防止法違反と不正作出私電磁的記録供用の罪に問われた東京都杉並区の違法有害情報販売サイト「激裏情報」運営、本堂昌哉被告(41)に対する判決公判が30日、京都地裁で開かれた。樋口裕晃裁判官は「犯行はいずれも利欲的かつ身勝手なもの」として懲役2年6月、執行猶予5年(求刑懲役2年6月)を言い渡した。

(MSN産経ニュース「B-CASカード不正、激裏情報運営者に執行猶予つき判決/京都地裁」より 2013/5/31)

■不正B-CASを大量に作成、販売する犯罪に

今年6月には不正B-CASカードを約2500枚販売し、およそ7000万円を得ていた男が逮捕される。冒頭の事件と同様、販売数、販売額の規模が大きくなっているのが今年に入ってからの傾向だ。

山本容疑者は昨年6月ごろからインターネットを通じて不正カードを販売。「無料視聴」「永久使用可能」などとうたい、約1700人に対して1枚1万5千〜3万5千円で約2500枚を販売、約7千万円を得ていたとみられ、捜査本部は裏付け捜査を進めている。

(MSN産経ニュース「不正B-CASカード販売 容疑でさいたまの男逮捕 商標法違反初適用 栃木+(1/2ページ)」より 2013/6/22)

■不正B-CASカード購入者に「示談金振り込み」を迫る詐欺も発生

不正B-CASカードの購入者リストが犯罪グループに出回り、B-CASカード提供元を偽って示談金をだまし取る犯罪も多発しているという。

有料放送が無料で視聴できる不正改ざんカードを購入したと思われる人に対し、「NPO法人 全国放送保護協会」の名前で「告発通知」と題した手紙が郵送される例が多発しています。

「告発通知」では、『この文書到着後10日以内に示談金として24万5千円を指定した口座に振り込まないと、警察への告発や損害賠償請求の手続きを行う』などとしています。

こうした組織や手紙は、当社とは全く関係ありません。当社が、手紙や電話でこのような要求をすることは決してありませんのでご注意ください。

(「お知らせ | B-CAS」より)

■不正B-CASカードは使うだけで違法

まだ不正B-CASカードの利用者で逮捕者は出ていない。しかし、B-CASの提供会社はその可能性を否定していない。

B-CASカードを不正に改ざんしたり、改ざんしたカードを使ったりしたら、どうなるのですか?

刑事罰の対象となります。刑法の私電磁的記録不正作出及び供用が適用される可能性があります。また、著作権法違反に問われる可能性もあります。詳しくは「法律について」を参照して下さい。

(「「不正改ざんカード」について」より)

■民事ではすでに利用者に支払命令も

不正B-CASカードを利用したことにより、民事で損害賠償を求めて訴えられた事例はすでにある。販売は言うまでもなく、購入、利用するだけで大きなリスクがあることだけは、肝に銘じておいたほうがいいだろう。

WOWOW、スター・チャンネル、スカパーJSATの3社は、B-CASカードの不正視聴に係る民事訴訟の第一審判決について7月9日に発表した。2人の被告に対する損害賠償請求が認められ、全額(計339万6529円)の支払いが言い渡された。

(ITmedia「B-CASカードの不正視聴、被告2人に損害賠償全額支払いの判決 - ITmedia LifeStyle」より 2013/7/9)

ついに利用者も検挙に

警視庁は11月26日までに、不正なB-CASカードを購入し、使用したとして42人を検挙。27人を書類送検している。

警視庁が販売先を調べたところ、都内に住む24歳から66歳までの会社員や自営業者、主婦など男女43人がカードを購入し、映画やスポーツなどの複数の有料放送を不正に視聴していたとして、不正作出私電磁的記録供用の疑いで一斉に検挙し、このうち27人を26日までに書類送検しました。

(NHKニュース「B-CASカード不正視聴 一斉検挙」より 2013/11/26)