警察に首を押さえられて亡くなったジョージ・フロイドさんの、新しい検視結果が発表された。
これはフロイドさんの家族の求めによって実施された当局から独立した検視で、死因を「首と背中の圧迫で脳が血流不足になり、それによって引き起こされた窒息による殺人」と結論づけた。
また、フロイドさんは警察に押さえつけられた現場で死亡したとしている。
検視を担当したのは、マイケル・バーデン医師とアレシア・ウィルソン医師だ。
バーデン医師は元ニューヨーク市の検視局長で、2014年に警察によって窒息死させられたエリック・ガーナーさんの検視も担当した。
フロイドさんは5月25日、ミネアポリス警察の警察官に9分近く首を押さえつけられた後に死亡した。
逮捕時に居合わせた人が撮影した動画には、フロイドさんが警官に何度も「息ができない」と訴えている様子がうつっていた。
医師たちは、首を押さえつけた警官以外の警察官による背中への負荷や手錠、そしてフロイドさんがとらされていた体勢が、横隔膜が正常に機能するのを妨げ、死の一因になったと結論づけている。
バーデン医師はメールによる声明で「検視結果は、人々が目にしたものと一致していた」と説明した。
「(検視で確認されたもの)以外に、死の一因となるような健康上の問題は見つかりませんでした。警察は話せる状態であれば呼吸できると考えているようですが、それは間違いです」
バーデン医師らによる検視結果は、州検視局による検視とは矛盾する結果になった。
ヘネピン郡ミネソタ州検視局による予備の検視結果は、フロイドさんを押さえつけたデレク・ショーヴィン元警官による「外傷性窒息や絞殺の診断を裏付ける身体的所見は見つからなかった」と結論づけていた。
フロイドさんの首を押さえつけたデレク・ショーヴィン元警官は、29日に身柄を拘束され第3級殺人罪などの罪で逮捕された。
フロイドさんが亡くなった後、彼の死や人種差別に対する激しい怒りがアメリカ中に広がっている。
全米各地で行われた抗議活動は大半が平和的なものだったが、一部が暴徒化し、火炎瓶を投げるといった過激な行為にも発展した。
フロイドさんの家族の弁護士ベン・クランプ氏は、検視結果を発表した最後に「どうか冷静になって欲しい」と呼びかけた。
「アメリカ中の路上で起きている抗議活動が義憤によるものであることを、私たちは理解しています」
「そして、私たちは社会を変えたいとの望む人たちの活動やエネルギーを支持し、そのための努力が続くことを願っています。しかし略奪や暴力は、決して受け入れられるものではありません」
「略奪や暴力はジョージにとっても受け入れられないものです。そして私たちすべてにとってそうあるべきです」
「ジョージに敬意を示すために必要なのは、正義の実現です。アメリカ中の人たちが、一度大きく息を吸う必要があります。ジョージ・フロイドには、それが許されませんでした。しかし私たちは、息を吸わなければなりません」
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。