将来、車を所有するのは富裕層だけになる。しかも、すべての車が自動運転になるだろう。
モルガン・スタンレーの自動車アナリストであるアダム・ジョナス氏は、新たなリサーチ・ノートの中でこう記した。ジョナス氏は、全自動運転技術の向上によって、いずれは大半の道路で「人間による運転」が禁止されると予測した。これは、テスラモーターズのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)の予測と同じだ。
Uber(ウーバー)やLyft(リフト)といった配車サービスは、すでに大都市の中心部で広く展開され、今ではタクシーの代わりとなる「公共の乗り物」の大量導入も進められている。そして、いずれこうしたサービスを市街地から郊外にも拡大するだろう。それに伴い、乗車1回あたりの代金は1マイル(1.61キロメートル)あたり約25セントまで下がり、従来のタクシーの代金のほぼ10分の1にまで削減されるようになる、とジョナス氏は予測する。ただし、同氏は、そうした未来がいつ実現するのか、具体的な時期は明言していない。
一方、近い将来、富裕層は自動運転車を所有するようになる。メルセデス・ベンツやテスラはそうした状況を想定しているようだ。
これについてもジョナス氏は具体的な時期を示していない。ただし、ますます多くの高級自動車メーカーが、すでに自社の自動車に自動運転機能を追加している。テスラのマスクCEOは2014年10月、2023年までには完全に自動化された車が公道を走るようになると述べた。
以下の表は、今後の自動車市場がどう変化していくかをまとめたものだ。縦軸が「人間の運転か、自動運転か」、横軸が「所有状態」を表している。
- 第1象限:現在 現時点では、大多数のドライバーが、車を所有するか、あるいはリースして、自ら運転している。全自動運転技術はまだ出現し始めた段階にすぎない。
- 第2象限:「カー・シェアリング」 数年前から、ウーバーやリフトなどの配車サービスが登場しているが、今後はこうしたサービスがさらに拡大する。多くの大都市で、車を所有するニーズが減って、配車を請け負うドライバーがはるかに身近なものになる。ジョナス氏はこの段階を、「公共の自動運転車」が大量に導入される近未来に向かう前段階としている。
- 第3象限:「自動運転車を所有する」 今後10年で、富裕層は自ら運転している車を自動運転車に切り替える可能性が高い。すでにテスラは、セダンタイプの電気自動車「モデルS」で、一定の自動運転機能を備えたバージョンを、2015年夏に発売する計画を立てている。なお、4月8日に発表されたモデルSの最新バージョンは、連邦税額控除後の価格で6万7500ドルからとなっている。
- 第4象限:「自動運転車を共有する」 これは、実現するであろう具体的な時期は不明だが、自動車業界における進化の最終的な段階だ。大多数の人がほとんど例外なく「公共の自動運転車」か、あるいは私営の自動運転車サービスを利用契約して乗るようになる。この時点で、一部の道路では、人間による運転は法で規制される可能性が高い、とジョナス氏は記した。地下鉄システムなど他の形態の公共交通機関は廃れるかもしれない。
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
[日本語版:湯本牧子、合原弘子/ガリレオ]
【関連記事】
ハフィントンポスト日本版はTwitterでも情報発信しています。@HuffPostJapan をフォロー