ミャンマー国会は3月10日、新大統領の選出手続きに入り、アウンサンスーチー氏(70)率いる与党・国民民主連盟(NLD)は2人の候補を擁立した。国会議員の投票による大統領選は週明けになるとみられるが、スーチー氏の側近ティンチョー氏(69)が当選する見通しで、スーチー氏は「代理大統領」を充てる形で政権の実権を握ることになる。時事ドットコムなどが報じた。
上下両院の4分の1を占める軍人議員とそれ以外の上院、下院の各議員グループが1人ずつ大統領候補となる計3人の副大統領を選出。両院の全議員による投票でその中の1人を大統領に選ぶ。NLDは下院枠でティン・チョー氏、上院枠でNLDの上院議員で少数民族チン民族のヘンリー・バン・ティーユ氏(57)を候補に指名した。
テイン・セイン大統領の連邦団結発展党(USDP)も上院枠と下院枠で1人ずつ候補を擁立。近く実施される投票で上院枠と下院枠の副大統領を選出するが、NLDが上下両院の過半数を押さえているため、ティン・チョー氏らNLDの候補2人が選ばれるのは確実だ。軍人枠の副大統領は11日にも選出される見通し。
(時事通信ニュース:新大統領にティン・チョー氏=スー・チー氏側近-ミャンマーより 2016/03/10 17:12)
スーチー氏は息子2人が外国籍のため、憲法の規定上、大統領資格がない。NLDが大勝した2015年11月の総選挙の直前から「勝てば大統領の上に立つ」と発言してきたスーチー氏は総選挙の後、憲法の規定を凍結する形で自身が大統領に就くことを模索。軍と協議したものの不調に終わっていた。
新大統領は、現職のテインセイン大統領の任期が切れる3月30日に向けて組閣など新体制の陣容を固めるが、スーチー氏が意中の人物を配置することになる。スーチー氏が10日の国会開会前に出した声明では、「今はまだ国民の願望を完全に達成できない」と述べたうえで「ターゲット(真の民主主義)実現に向け支持してほしい」と求めた。
軍による政治支配が続いてきたミャンマーで、民主的な手続きを経て軍出身でない人物が政治指導者に選ばれるのは56年ぶりになる。
産経新聞は、NLD幹部のハンタミン中央執行委員と11日に最大都市ヤンゴン市内で単独会見、ハンタミン氏がスーチー氏について「来月に発足する新政権では要職に就かず閣外にとどまり、党首として実権を握る見通しを示した」と伝えている。
ティンチョー氏
■ティンチョー氏とは
大統領候補に指名されたティンチョー氏は、スーチー氏とは高校時代の同窓生。長く経済関係の省庁に勤務し、軍とも比較的良好な関係を保っているとされる。
BBCは次のように伝えている。
・NLD幹部でスー・チー氏の側近。英オックスフォード大学出身。
・穏やかな物腰で、正直で忠誠心に厚いと評価されているという。これまであえて目立とうとしてこなかった。
・父親は作家で詩人のミン・トゥ・ウン元NLD議員。
・妻ス・ス・ルウィンはNLD創設者のひとりの娘で、現NLD議員。
・スー・チーさんの亡母顕彰のために設置された慈善団体の幹部。
・スー・チーさんのそばにいることが多く、運転手を時折務めることもある。
(ミャンマー大統領候補にスー・チー氏の側近擁立 与党NLD - BBCニュースより 2016/03/10)
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