ミャンマーで2月1日、2015年11月の総選挙結果に基づく新国会が開会した。総選挙で勝利したアウンサンスーチー党首が率いる国民民主連盟(NLD)と国軍が、「スーチー大統領」の実現をめぐって水面下で攻防を繰り広げているとの観測が広がっている。
約半世紀に及ぶ軍主導の政治からの脱却を果たしたミャンマーでは、NLDを中心とする新政権が3月末にも発足する予定。時事ドットコムは次のように報じた。
外国籍の息子を持つスー・チー氏は憲法の規定で大統領になれない。地元メディアによると、NLDはスー・チー氏の大統領就任に道を開くため、憲法の大統領資格規定の改正や一時停止に同意するよう国軍に働き掛けているもようだ。
NLDの重鎮で大統領候補として名前が取り沙汰されているティン・ウ氏は2日、記者団に「彼女が大統領にならなければならない」と述べ、「スー・チー大統領」の実現を目指す方針を確認する一方、新大統領の選出をめぐり国軍との話し合いが決着していないことを示唆した。
(時事ドットコム:「スー・チー大統領」で攻防か=NLDと国軍-ミャンマーより 2016/02/03 16:11)
スーチー氏は、新閣僚の半数程度をNLD以外から起用するなどして挙国一致態勢を築く一方、側近を大統領に指名して実権を握る方針とされる。スーチー氏は、総選挙後に「大統領以上の存在になる」と発言するなどみずから実権を握る考えを強調している。
大統領を指名した後に自身の大統領資格を認めない憲法条項の改正を図るとみられるが、容易ではない。軍側は円滑な政権移行への協力を約束してはいるものの、スーチー氏の大統領就任に反対する意見は根強い。
軍側は上下両院の定数の4分の1を占める「軍人枠」を握っており、議会の4分の3以上の賛成を必要とする憲法改正に対して圧力をかけ続けるとみられている。
ただし大統領資格規定の一時停止なら憲法改正にはあたらず、軍が事実上の拒否権を発動することはない。スーチー氏は国軍から協力を受けることを念頭に、軍の流れをくむ人物を取り込むなど幅広い人事構想を練っている模様と伝えられている。
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