ブラックホールや超新星、銀河団などを観測して宇宙の構造や進化の謎に迫るエックス線天文衛星「アストロH」が、17日午後5時45分、鹿児島県の種子島宇宙センターからH2Aロケット30号機により打ち上げられた。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)によると、アストロHは、昨年に運用終了した「すざく」の後継衛星で全長14メートル、重さ2.7トン。形状は筒形でこれまでの日本の科学衛星では最も重い。2種類のエックス線望遠鏡と、4種類のガンマ線検出器を搭載し、すざくの最大100倍の感度がある、という。
JAXA のほか、米航空宇宙局(NASA)など国内外の200人を超える研究者が参加して開発された。
これまでのエックス線天文衛星で最大級、最新鋭のアストロHは、高度575キロの地球周回軌道を96分で1周しながらエックス線やガンマ線を放射する高温、高エネルギーの天体を観測して宇宙の成り立ちや進化を究明する。
テスト運用の後、今夏以降に本格的な観測を始める予定だ。
打ち上げは当初12日の予定だったが天候不良のため17日に延期された。今回、アストロHのほか、九州工業大学、名古屋大学、三菱重工業の三つの小型衛星も一緒に打ち上げられた。
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