ASKAのタクシー車内映像BPOがテレビ局に注意喚起「明らかに違法」と弁護士は指摘していたが...

「公益性も否定できない以上、一概に放送倫理違反を問うことは難しい」。
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時事通信社

2016年11月、覚せい剤取締法違反の疑いで警視庁に逮捕され12月に不起訴処分(嫌疑不十分)となった歌手のASKAさんのタクシー車内の映像がテレビ番組などで放送された問題で、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会は、審議対象にしないと決めたことを1月23日発表した。各局への注意喚起にとどめるという。

発表によると、タクシー車内の映像を放送したのは、日本テレビ、テレビ朝日、TBS、フジテレビの民放4局。視聴者から多数の意見が寄せられたため、検証委員会と民放4局との意見交換が行われた。

放送した各局は「相当程度公的な存在といえるASKA氏の逮捕直前の様子や言動を伝えることは重要で、公益性・公共性が高いと判断した」などとして、放送した理由を説明したという。

これに対して、検証委員会は審議入りさせることはないと決めた理由について、以下のように説明している。

しかし最終的には、問題点はあるものの、各局の報道内容について公益性も否定できない以上、一概に放送倫理違反を問うことは難しいし、ASKA氏が既に釈放されていて、本人のブログ上で「法的手段を進めている」と公表していることなどを勘案して、主な意見を記載して注意喚起をすることで、この事案の討議は終了することになった。

 

第111回 放送倫理検証委員会 | BPO | 放送倫理・番組向上機構 |より 2017/1/23)

一方で、以下のような審議委員からの厳しい意見もあわせて公開し、テレビ局に対して注意喚起をしている。

・いくら公益性・公共性といわれても、実際の番組を見てみると、面白いものが手に入ったから放送している印象がぬぐえなかった。

・タクシー車内の映像だが、あの程度の内容で公益性・公共性があるという主張には違和感を持った。

 

第111回 放送倫理検証委員会 | BPO | 放送倫理・番組向上機構 |より 2017/1/23)

■「明らかに違法」と弁護士は指摘

BPOは、審議入りを見送った理由の一つとして、ASKAさんが法的手段を講じるとしていることを挙げている。

小林正啓弁護士(花水木法律事務所)は、ハフィントンポストの取材に「明らかに違法」だとし、「勝手に写真を撮られて公表されない権利である肖像権と、私生活上のプライベートな行為を公表されないという権利、プライバシー権の両方を侵害していると言えますね」と解説している。

映像を提供した側のタクシー会社グループ「チェッカーキャブ」は、2016年11月30日、この問題について謝罪した

国土交通省は2016年12月1日、ドライブレコーダーの映像管理について徹底するよう、タクシーなどの業界団体などに通知した

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