「アジア人がなんでアリエルを演じるのか」
心ない批判に苦しんだひとりの女優が、自身の経験を元に、人種の壁を壊すことの大切さをFacebookに綴っている。
ダイアナ・ヒューイさん(YouTube)
全米をツアー中のミュージカル「リトル・マーメイド」で、主役のアリエルを演じるダイアナ・ヒューイさんは、日本生まれのアメリカ人だ。
アリエル役に選ばれて以来、ヒューイさんはFacebookをはじめネット上でバッシングを受けた。白人のアリエルを、アジア系アメリカ人のヒューイさんが演じることに不満を持つ人たちからだった。
ツアーが始まったときの気持ちを、ヒューイさんはFacebookでこう綴る。
「私はアジア系のアメリカ人で、お客さんが期待するアリエルとは違う。だからショーを気に入ってもらい、演技を楽しんでもらうために、人より努力しなければいけないと感じていました」
「いま振り返ってみると、その考えは私自身を悲しい気持ちにしていました。肌の色、目の形など、才能や人柄以外の部分で『自分は劣っている』という気持ちになるのは間違っています」
ヒューイさんはニュースメディア「バッファローニュース」のインタビューで、南部であればあるほど批判的な声が増え、精神的な負担も大きくなったと語っている。
しかし南部テネシー州ナッシュビルで出会ったある親子が、ヒューイさんの気持ちを大きく動かしたという。アジア人の女の子を養子に迎えた母親が、ヒューイさんにこう伝えた。
「そのお母さんは私に『あなたがアリエルを演じているのを目にしたとたん、娘のことを思って涙があふれてきました』と、話してくれました」
「あまりアジア人がいない場所で暮らしている幼いアジア系の女の子を見て、私は多様性がなぜ大切なのか、偏見のない世界や平等がなぜ重要なのかを実感しました。だから、たとえ攻撃の矢面にさらされることがあったとしても、私はアリエルを演じます」
ミュージカルのグレン・カザレ監督はヒューイさんを選んだ理由を、歌唱力が飛び抜けていたからだと話す。
「彼女は素晴らしい女優で、年齢も役に適していた。そして歌がうまかった。50人ほどオーディションしたけれど、ダイアナは断トツでした」
<ヒューイさんのパフォーマンス>
多様性が当たり前で、肌の色や出身ではなく努力や才能で人が評価される世界を実現するため、これからも闘い続けたいとヒューイさんはFacebookで綴る。
「私は、アジア系アメリカ人としてアリエルを演じることで、『自分は十分に努力してきたし、才能があるからこの役を受けるに値する』と信じる次の世代を、勇気付ける存在になりたいと思います」
「人種差別や偏見がいつかはなくなると信じたい。世界中全ての人が平等になる日が来ると信じたいのです」
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