ボコ・ハラムに276人の少女が拉致されてから丸2年、世界は現状を恥じるべきだ。

あの事件は、若い命を守れない私たちの弱さを象徴している。
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People march during a silent protest calling on the government to rescue the kidnapped girls of the government secondary school in Chibok, who were abducted a year ago, in Abuja, Nigeria, Monday, April 13, 2015. Nearly 300 schoolgirls from Chibok were abducted in a mass kidnapping on the night of April 14-15. Dozens escaped on their own but 219 remain missing. (AP Photo/Sunday Alamba)
ASSOCIATED PRESS

あれから730日。絶望的な状況は今も変わっていない。私たちができるのは奇跡を祈ることだけなのだろうか。拉致された女子生徒とその家族には、もっと素晴らしい人生があったはずなのに。

ナイジェリア北東の町チボクから、276人の少女たちが誘拐されてから丸2年経つ。私たちは、彼女たちを解放するためにできることすべてをやり尽くした。

学校で熱心に学んでいた少女たちが集団拉致されたあの事件は、若い命を守れない私たちの弱さを象徴している。

大半が16歳~18歳の少女たちだった。彼女たちの居場所はいまだに不明だ。2015年にナイジェリア軍は、ボコ・ハラムの人質となっていた何百人もの女性や少女を解放したと発表したが、それはチボクの少女たちではなかった。

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276人の少女が誘拐されたチボクの公立女子中学校。現在この学校に通っている生徒はほとんどいない。(画像:STEFAN HEUNIS/AFP/Getty)

誘拐された少女たちの一部は奴隷に売られたり、兵士と無理やり結婚させられたりしたと伝えられている

また、ボコ・ハラムが約5000万ドル(約54億2000万円)という巨額の身代金を密かに要求したとの報告もある。

赤十字監視のもとで、人質交換の話し合いもあったが、交渉は完全に失敗したようだ。

あの事件は、若い命を守れない私たちの弱さを象徴している。

悲しいことに、今、私たちが知ることができる少女たちの情報は、伝え聞いたものや、観測に基づいたものばかりだ。彼らが拉致されてちょうど2年後にあたる2016年4月、少女たちの姿が映った新しい動画が公開された。もしかしたら何人かはまだ生きているかもしれない。しかし、世界は何もせずにただ待ち続けている。なんということだ。

少女たちの両親は、毎日つらい朝を迎えている。娘が生きているかのか、結婚しているのか、性的な暴行を受けたかのか。彼らには知る術もない。なぜ彼らが、こんな絶望的な気持ちを味わわなければならないのだろう。

世界では、紛争地域が増え続けている。そこでは子供たちが毎日、恐ろしい思いをしながら生きているのだ。チボクの少女たちは、その中でも最もひどい犠牲者たちだ。

現在、約3000万人の子供たちが家を失っているという。第二次世界大戦以降、こんな事態は今までなかった。世界大戦以外で、これほど多くの子供が難民になった事態、これほど多くの国で学校がテロの対象になったことは、歴史上ない。

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ナイジェリア北東部ボルノ州の街、ムバララの少女、3月25日撮影(画像 STEFAN HEUNIS/AFP/Getty)

国連の安全保障理事会は、もっとできることがあったはずだ。アメリカ、フランス、中国、イギリスといった国の支援を得て、空からの監視や地上での活動を強化し、少女たちを解放できたかもしれない。学校を狙った攻撃や、誘拐から子供たちを守るため、もっとできることがあったし、これからやるべきだろう。

誘拐に対して、国際社会は毅然とした態度で臨むという姿勢を示すため、安全保障理事会は誘拐犯に厳罰を科す決議を採択するべきだ。

また、全ての国が、「学校保護宣言」(教育を武力攻撃から保護するため、真剣な取り組みを求める宣言)を支持してほしい。紛争地域にある学校を守るために、国際社会が力を合わせて、警備員、防犯カメラ、安全ゲートのための予算を確保する必要がある。

子供たちを守るため、もっとできることがあったし、これからやるべきだろう。

そのためには、世界人道サミットで教育のための緊急援助資金を増やすよう働きかけなければならない。今はまだ予算の数パーセントを占めるに過ぎない。

21世紀の初めに、世界は子供たちに「国籍に関係なく、全員が教育を受ける機会を持てる」と約束した。この誓約は、国連で2015年に採択された「持続可能な開発目標」でも強調されている。

しかしそれは、紛争地域の少年少女が安全に学校に行けるようになるまで、実現できないということを、私たちは忘れてはいけない。

ワールド・ポストに掲載された記事を翻訳しました。

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