朝日新聞社は9月11日、記者会見を行い、5月20日付の朝刊に掲載された記事「『吉田調書』入手」について、「誤った部分があり、訂正する考えだ」とした。
朝日新聞社の木村伊量(ただかず)社長は会見で、即時辞任について否定している。
会見で配布された、[5月20日付朝刊「『吉田調書』入手」の記事について]の全文は以下の通り。
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2014年9月11日
5月20日付朝刊「『吉田調書』入手」の記事について
■「命令違反・撤退」について
取材班が、命令違反で撤退したと記した主な根拠は①吉田調書での吉田所長の「所員に福島第一の近辺に退避して次の指示を待てと言ったつもりが、福島第2に行ってしまった」などとする証言②複数から入手した東電内部資料③東電本店の記者会見で福島第一の安全な場所などに所員が移動を始めたと発表した内容――などでした。これらをもとに、所員が「吉田所長の命令に違反し、福島第二に撤退した」としました。しかし、所員への直接取材を徹底しなかったため、所員に指示がうまく伝わらないまま第二原発への退避が行われたということが把握できませんでした。この結果、所員が逃げたという誤った印象を与えることになりました。また、取材班が「撤退」とした判断は、約10キロ離れた第二原発に大半の所員が移動してしまってはすぐに戻れない状態であることなどから、「撤退」という表現を使いました。
■「吉田氏の一部発言の不掲載」について
吉田所長が、第二原発へ退避した所員の行動を「よくよく考えれば2F(福島第二原発)に行った方がはるかに正しいと思った」と評価していた部分や、「伝言ゲーム」で所員の多くに指示が伝わらなかったことを認識していた調書のくだりを記事から欠落させていました。「重要な発言ではない」と判断するなど所長の発言の評価を誤ったうえ、必要かつ十分なデータが記事に反映されているかの確認を徹底しなかったのが原因です。
■「報道をめぐる経緯」について
朝日新聞報道後、「誤報」などの批判が寄せられました。取材班からは、吉田所長の待機命令は間違いないなどの報告を受け、信頼しました。取材班は検証紙面を何度か希望したが、紙面化に至りませんでした。8月に入って新聞メディアが吉田調書を入手したと報じ始め、朝日新聞の記事の印象と異なる内容でした。このため、編集幹部の指示をうけて点検を始めました。その結果、所員らへの取材が不十分で、所長発言への評価が謝っていた判明。語句の修正ではなく、取り消すという判断をしました。
以上
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(原文ママ)