ウィリアム・シェイクスピアは、『ソネット集』の130番で、愛人の欠点を並べたて、でも、だからこそ彼女はよりいっそう美しい、とうたっている。
ひるがえって現代では、「美の真空状態」とでも言えそうな世界が広がっている。すべてが画一的で、完璧で、左右対称でなければならないという世界だ。
そうした世界が本当に美しいかどうかを確かめるため、写真家のアレックス・ジョン・べック氏は、人々の写真を撮って、コンピュータである処理をした。左側の写真は顔の左半分を対称にした場合、右側の写真は顔の右半分を対称にした場合だ(元の写真は掲載されていない)。
Alex John Beck
べック氏はハフィントンポスト・イギリス版の取材に対し、「現代社会では、対称性が美の中核要素だと信じられているが、私としてはそうした信仰を打ち破りたい」と述べた。「対称性は客観的な指標だが、美とは本質的に主観的なものだ。そして私は、はるかに重要なものがあると思う。それは人間の個性だ」
べック氏は「TIME.com」の記事で、「これらの写真には、個性が欠けていると思う」と述べている。「美は、恣意的なデータよりも、個性に裏付けられた部分が大きい。人間性は混沌としたものであり、またそうであるべきだ。私自身、たとえば髪を中央で分けるのは好きではない。それに、最も偉大なテニス選手だって、利き腕というものがある」
これらの写真は少々異様だが、確かに核心を突いていそうだ。
べック氏が「Instagram」でも写真を公開している。スライドショーは、ロシアの有名メイクアップ・アーティストであるヴァディム・アンドレーエフが公開している「ビフォー・アフター」写真集だ。
[Poorna Bell(English) 日本語版:湯本牧子/ガリレオ]
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