豊かな水辺環境を取り戻すために--問題を可視化し、アクションする人を応援するアプリ「AQMAP」

豊かな水辺環境を後世に残していくために、一般市民が行動を起こすきっかけ作りと、水辺環境を向上させていくためのサービス「AQMAP(アクマップ)」をご紹介します。
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AQMAP

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みなさんは小さい頃に川や海で遊んだ記憶はありますか?

自然豊かで希少な生物もいる水辺で遊ぶことは、子どもたちにとってとてもいい経験ですが、最近は河川や海の汚染が激しく、安心して思いっきり遊べるような場所は少なくなってきているように思います。

今回は、豊かな水辺環境を取り戻し後世に残していくために、一般市民が行動を起こすきっかけをつくり、水辺環境を向上させていくためのサービス「AQMAP(アクマップ)」をご紹介します。

豊かな水辺環境の実現するために

AQMAPは、水辺環境の現状を観察・記録・共有することによって問題の見える化を促し、「豊かな水辺環境」実現のためのアクションを起こすポータルサイトです。

近所の河川や、訪れた先の海・川・湖等の写真を撮って投稿し、同じ流域に興味を持つ人と状況を共有することで課題を発見し、それを改善するための行動のきっかけをつくります。

水辺状況の問題改善を促すClearWaterProject

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こちらの AQMAPを作成したのは、一般社団法人「ClearWaterProject」です。

代表を務める瀬川貴之さんは、ご自身が趣味でサーフィンをしていることもあり、海によく足を運びますが、汚れた海が多いことに胸を痛めていました。

確かに上水道が完備され安全に水を利用できるので、海・川・湖が汚いままでも生活に不自由するわけではないが、みんなきっと心が癒される美しい自然環境を求めているのではないだろうか。

そう考えた瀬川さんは、美しい水辺を取り戻し、文化を創造し、子供達の世代により豊かな環境を残していくために、「ClearWaterProject」を始めました。

水辺状況の問題点・改善活動を "見える化" することを中心とした事業展開を行い、現在は、「AQMAP」、「川遊びマップ」、「カワサポ」という3つのサービスを主体に運営しています。

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そのほか、行政や地域の自治会、子供会から幅広い世代に集まってもらい、地元の河川で遊んだ思い出を語ってもらうワークショップを開催したり、子供たちと川で遊びながら探検すイベントを実施するなど、川からの地域づくりにも取り組んでいます。

水辺を観察し、情報を共有して行動を起こす

水辺情報を地図上に登録して、問題箇所を「見える化」し、行政、企業、環境団体、市民がみんなで問題解決にあたれるツール「AQMAP」は、以下のように使用します。

観察

近所の河川、遊びに行った先の川・海・湖に目を向けて見て、状況が直感的にわかるような写真を撮影します。スマホやWEBで投稿し、専門的な知識もある人は詳しい情報も掲載します。

情報をマッピングしていくと、「水質」「生物環境」「ゴミ」の状況を、流域で分析することができます。

共有

集まった投稿を見て、その場所に興味がある人が「気になる」をクリックします。

同じ流域や興味を持つ人々と意見を交わすと、どんどんその流域の状況が把握できてきます。

行動

問題点が明確になった場所に対しては、具体的な行動をしていきます。AQMAP上では、活動を始めるときに協力してくれる人を募ったり、署名や活動資金を集めることができます。

このように、IT×市民協働で水辺環境情報を集約し、問題改善までをつなげるのが AQMAPです。

全国の投稿者からの情報がWEB上に

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アプリを開いてみると、赤・黄色・水色と色分けされたマークが地図上に多数点在しています。こちらは、全国各地の海・川・湖の写真やその様子を投稿するとともに、「遊びたい水辺か?」と投稿者が感じる度合いによって色分けされたもの。

地図上で見てみると、水色の「とても遊びたいと思う」が密集する地域もあれば、赤色の「遊びたくない」が密集している地域も。アプリを見ただけで、その地域の水辺の状況がよくわかる内容となっています。

また、スマホで写真撮影してコメント付けるだけでもアップ出来るため、歩きながら記録替わりにアップされて、アップするうちにより近くの川やその上流など気になるようになった、という利用者の方もいるそう

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一番最近の事例では、「WaterLiteracyOpenForum5」という"一般市民に水辺の興味理解を持ってもらおう"というイベントで、東京の野川で簡易水質検査パックで検査した情報を周囲の写真付きでイベント中にアップロード。

これまでの水質検査等は実測しただけで終わってしまっていたのが、AQMAPを使うことで瞬時にWEB上で共有できるのが画期的だと喜ばれているそうです。

アクションを起こす人をサポートするAQMAP

代表の瀬川さんはこう語ります。

水辺は山から海まで全てが繋がって影響しています。今起こっている影響といえば、食べ物のウナギやアユ、シジミやハマグリ等もそうですし、子供が近所で水遊びする場がない、生き物探検出来ないといった状況、また都市部の川の水位がすぐに上がるようになっている状況も生活環境が変わってきたことによる影響だったりします。

私たちの生活のひとつひとつが、川や海に影響を与え、それが自然全体に影響していきます。それを改善していくためには、気づいたひとがどんどんとアクションを起こしていくことが必要です。

AQMAPは主に研究や市民活動、行政モニタリング等具体的に行動を起こす人々をサポートするツールとして、水辺風景、水質、ゴミ、生物だけでなく、ダム情報や堰堤、魚道等河川流域に関わる全てのデータを水辺のビックデータとして収集し、統合的に流域情報を共有・モニタリングに使えて、何か行動を起こす時の情報の元になるように育て上げたいと考えています。

豊かな水辺のために行動していきたいという人の思いをサポートするためにつくられたAQMAP。

このサービスをとおして生まれるアクションは、壊れつつある日本の水辺環境をもう一度豊かなものにしていくことでしょう。

気になる方は、ぜひこちらからダウンロードしてみてください。

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(2015年7月22日の「マチノコト」より転載)