史上初めて、iPhoneの販売台数が減少した。
2015年の同時期、Appleは6100万台のiPhoneを売った。今年の3月期、Appleが販売したのはわずか5120万台、前年比16%減だった。
これは、iPhoneがピークに近い(既に達していないとすれば)ことを知っている多くの人々にとって驚きではない。初めてiPhoneの買う人がもうそんなに多くいないというだけのことだ。
これは世界最大のスマートフォン市場である中国では特に顕著であり、ついに飽和状態に達したスマートフォン販売全体が下降し始めている。Appleの中国での総売上は26%減ったが、この減少にiPhoneがどれだけの影響を与えたかは明らかになっていない。
一方、iPhones 6sと6s Plusモデルは、iPhone 4sのSiriや、iPhone 5sのTouchIDのように、毎年の買い換えを決心させるような新機能を提供していない。加えて、新たに発売された小さくて安いiPhone SEは、発売日が3月31日だったためこの決算報告に含まれていない。
Appleは常に、「S」の年には大きな機能追加を行わず、前の世代と殆ど外見の変わらないiPhoneを提供してきた。Apple CEO、Time Cookは今日の決算会見でこのことに触れ、iPhone 6sへの買い換えは、iPhone 5sへの買い換え台数よりわずかに多かったと語った。
それでも、iPhone 7、および新発売のiPhone SEにかかる期待はかなり大きい。
前の四半期、iPhoneはAppleの総売上の70%近くを占めていた。Appleの四半期損益が2003年以来初めて減少した理由もそれで説明がつく。
iPhoneの売上成長がないと、同社は少々困難な状況に曝される。iPad、Macの両部門も対前年比で減少したことも事態を悪化させるばかりだ。
それでもAppleは、サービス事業に大きく力を入れており、成長を見せている。Tunes、App Store、Apple Music等から成るサービス事業は前年比で20%上昇した。ある意味で、「iPhoneピーク」問題がサービス売上を押し上げているとも言える。ユーザーのインストールベースが増えれば(Appleは今年、登録台数10億台に達した)、Appleのソフトウェアエコシステム経由の購入は増える。
さらに、これらのソフトウェアベースビジネスは、消費者にMacBookやApple Watch、Apple TV等、他のApple製品の購入を促す。
残念ながらAppleは「その他製品」の内訳を公表していないため、どの製品が現金をもたらしているかを解読することはできない。いずれにせよ、Appleが利益率の高いiPhone事業の落ち込みを、サービスその他の製品で補えるかどうかはまだわからない。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook)
(2016年4月27日 TechCrunch日本版「Apple、史上初めてiPhone販売で前年割れ」より転載)
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