アップルのティム・クックCEOの身の安全は、費用だけをみればアップルストアのヘルプデスク担当者(ジーニアス)12名分以上の価値がある。
アップルがアメリカ証券取引委員会に提出した書類から、同社がクックCEOのセキュリティ対策に約70万ドル(約8700万円)を費やしていることが分かる。書類には、確定拠出年金401(k)など、アップルがクック氏に対して支払っている福利厚生の金額が書かれている。内訳は次の通りだ。
(i)クック氏の確定拠出年金401(k)の企業側拠出掛金:1万5600ドル(約194万円)
(ii)会社が加入する定期生命保険額:2520ドル(約31万円)
(iii)2014年の未消化有給休暇の清算金額:5万6923ドル(約707万円)
(iv)セキュリティ費用:69万9133ドル(約8680万円)
一方、給与情報を扱うペイ・スケール社のデータによれば、ジーニアスの給与は最高で約5万5000ドル(約683万円)だ。つまり、アップル社はクック氏のセキュリティ対策に、「最も年棒の高いジーニアス」12名分の合計年俸を上回る額を注ぎ込んでいることになる。
8700万円という額は、1人の人間を守るためのセキュリティ対策としては多額だが驚く金額ではない。アップル社は2015年2月、企業としてアメリカで初めて時価総額が7000億ドル(約83兆6000億円)を超えた。巨大企業のCEOとして、安全対策は厳重に行う必要があるだろう。
またクック氏は、全米で収入上位500社をランク付けした「フォーチュン500」に入る企業で初めて同性愛者であることを公表したCEOだ。そのため、ヘイトクライムの標的になる可能性もある。
とはいえ、アップル以上にCEOのセキュリティ対策に費用をつぎ込んでいる企業もある。役員報酬調査会社のエクイラーによれば、2013年にアマゾンがジェフ・ベゾスCEOのセキュリティ対策に使った金額は160万ドル(約2億円)、オラクルがラリー・エリソンCEO(当時)に支払った金額は150万ドル(約1億8600円)だった。
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
[日本語版:遠藤康子/ガリレオ]
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