アップルが提供する定額制音楽配信「Apple Music」の有料会員数が開始から6カ月で1000万人を突破したことが分かりました。フィナンシャル・タイムズがレポートしています。
月額の固定料金を支払うだけで好きな曲がスマホやPCで聴き放題できる音楽ストリーミングサービスは、これまでのCDやデジタルダウンロードと並ぶ、もしかしたらそれ以上の大きな音楽の聴き方として、世界中で急速に普及しています。
2015年6月に始まったApple Musicは、日本を含めて世界100カ国でサービスが広がり、SpotifyやDeezerなど先行する音楽ストリーミングを追いかけ、アップルの音楽業界での影響力を再び蘇らそうとしています。
定額制音楽ストリーミングの分野で世界トップを走るのは、有料会員2000万人以上、アクティブユーサー7500万人以上を獲得している「Spotify」です。Spotifyはこの数値を58カ国とアップルに比べて少ない市場で達成しています。同様にSpotifyも2014年に1000万人有料会員を獲得してから、わずか12カ月で2倍の2000万人以上を獲得するほど、驚異的な成長スピードを見せます。
ですが、Spotifyが6年掛って達成した1000万人越えを、わずか6カ月で達成したアップルの勢いを見ると、世界的な傾向として定額制音楽ストリーミングの認知と利用が拡大しているといえるでしょう。
デジタル音楽サービスが定着する中でも、音楽ストリーミングは、CDそしてデジタルダウンロードからの売上が年々減少する状況において、新たなビジネスのチャンスとして音楽業界は注目しており、その勢いは年々高まる一方です。
アップルとSpotifyの他には、フランスに拠点を置き世界180カ国以上にサービスを展開する「Deezer」や、ヒップホップアーティストのジェイ・Zが運営を手掛ける「Tidal」などが競争を繰り広げている競争の激しい市場です。Deezerは有料会員数630万人以上、Tidalは100万人以上と、SpotifyとApple Musicの規模には広がっていないのが現状です。
サービス内容は全く異なりますが規模で見ると、アメリカで広い人気を集めるネットラジオ「Pandora」はアクティブユーサーが7800万人を超える巨大サービス。しかし有料会員に目を向けるとわずか390万人しか集まっていません。
アップルにとってApple Musicは2016年の製品ローンチにおいて極めて重要な役割を果たすと考えられます。9月に発表が噂されている「iPhone 7」では、これまで使っていた3.5mmのイヤホンジャックを廃止、Lightningケーブルを接続したオーディオ機器に切り替わるという、音楽デバイスの世界を刷新するほどの大規模な変更が推測されています。
またApple Music向けには、ハイレゾ配信を導入するとの噂もあるため、ヘッドフォン周りの製品情報や、サービス周りの進展が気になります。2014年に買収したヘッドフォンブランド「Beats by Dre」を製造するBeats Electronicsとの新しいオーディオ製品の共同開発もどのような成果を見せるのか、音楽好きやアップル好きには気になるところです。
ソース
(2016年1月11日「デジタル音楽ブログ All Digital Music」より転載)