謝罪会見は“諸刃の剣”、対応次第で潮目が変わる
年明け早々、日本中を揺るがした2つの“謝罪会見”。もちろんタレント・ベッキーの不倫騒動と、SMAPの一連の騒動だ。1月6日にはベッキーが、そして1月18日放送の『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)の番組冒頭で、異例の「生放送謝罪」を行った。『スマスマ』が平均視聴率31.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録したことからもわかるように、いかに国民、マスコミからの関心が高かったかがうかがえる。これまでにも多くの芸能人が“謝罪会見”を行ってきたが、その言動や立ち居振る舞いが、その後の活動にも大きな影響を与えてきた。
◆ビートたけしや勝新太郎ら、謝罪会見を“人間力”でプラスに転換
そもそも謝罪会見は、何かしら“あまりよろしくない”ことを行なったことに対し、ファンや関係者に謝るということである。それだけに会見での立ち居振る舞いや言動は、その後の当人の芸能活動・生活にも大きな影響を与えることは言うまでもない。
1986年、ビートたけしとたけし軍団による写真週刊誌『フライデー』(講談社)編集部襲撃事件は、人気絶頂の芸人が現行犯逮捕されるという芸能史に残る衝撃的な事件であり、当時の反響はすさまじいものだった。事件後の謝罪会見で、ビートたけしは自身の非を認めつつも、過激な取材行為に対してはきっちりと自分の意見を述べた。復帰が早すぎるのではないかという記者の質問には、「仕事をもらうほうの立場であって、芸人は仕事があれば行く。事務所や軍団の巻き込んだ人をほっといて、今引退して逃げたら、後どうなるんだ。巻き込んだことを処理しないまま逃げるわけにはいかない」と発言した。
たけし軍団のメンバーによれば、「これでお前らがもし、この世界を辞めさせられるようなことがあったら、俺が一生面倒見てやる」と発言したと伝えられ、たけしの“男気”として今でも語り継がれている。たけしの会見を経て、世間では「人権を無視した、行き過ぎた報道が悪い」といったたけしへの同情論や、「いかなる事情があっても暴力はいけない」という意見など、様々な議論が沸き起った。
また1990年、下着にコカインとマリファナを隠し不法所持したとして、故・勝新太郎さんが米・ハワイ州で逮捕されたという事件があった。逮捕後の会見で勝さんは、「どうしてコカインがあったのかわからない」「もうパンツをはかないようにする」と発言。数々のとぼけた“迷言”や、勝さんの豪放磊落なキャラクターも相まって、世間も“あの人だったら仕方がない”と苦笑し、許してしまうような雰囲気であった。
たけしや勝さんの会見の例は、いわば彼らの“生き様”を見せたことにもなり、その後の芸能活動にも、それぞれの“人間力”をアピールする形でプラスの評価を与えたと言ってもいいだろう。
「もちろん芸能人にとって謝罪会見なんてできればしたくないものでしょうが、自分の常日頃の活躍以上に注目が集まる機会でもあり、ある意味で一世一代の“晴れ舞台”とも言えるんです。その場の対応次第では、そのまま落ちていくこともあるし、逆にプラスの評価を得て、新しいキャラを開拓して仕事を増やすことすらある。芸能人のポテンシャルを見せる場でもありますね」(週刊誌芸能担当記者)と、いくつかの例は、確かに謝罪会見を踏み台にして仕事を増やしたとも言えるようである。
◆その後を左右する謝罪会見 対応次第では芸能生命の危機にも
また峰竜太は、“浮気謝罪会見”に妻の海老名美どりを同席させたことで一躍注目を浴び、自虐的に“恐妻キャラ”を前面に出すことで、世間からの好感度を上げバラエティ界に進出していった。同路線で言えば、川﨑麻世もそうだろう。女優との“不倫謝罪会見”時に、取材陣の後ろで妻のカイヤが睨みつけていたお蔭で、やはり恐妻キャラとしてバラエティなどの仕事を増やした。そうした意味では、彼らは“とにかく謝って好感度アップ系”とでも言うような、妻との二人三脚の会見だった。
「ただこのご時世、そこまで視聴者の懐は深くはない。お笑いコンビの次長課長・河本(準一)さんなんかは、(母親の生活保護不正受給問題で)真摯に謝ったとも言えるのに、『情けなくて恥ずかしかった』と発言したせいで、『生活保護受給者をバカにしてるのか!』と批判を浴びて火に油を注ぐ結果になった。まあ、何を言ってもやぶ蛇状態だったんでしょうが……」(前出の記者)と言うように、やはり芸能人にとって謝罪会見は、諸刃の剣でもあるようだ。
端的に言えば、元サッカー日本代表・前園真聖が酔ってタクシー運転手に暴行した事件を起こした際、記者たちの質問に1つひとつ丁寧に対応し、真摯に反省していることが伝わるような謝罪会見であった。当たり前だが、誠意を込めた態度ということが一番重要なのであろう。もっとわかりやすく言えば、前園が先駆けともなったように、後々『しくじり先生 俺みたいになるな!!』(テレビ朝日系)に呼ばれるような謝罪会見がベストだということかもしれない。
いずれにせよ、いろいろな問題に直面した際の、渦中の芸能人たちの立ち居振る舞いには多くの注目が集まる。対応の仕方によっては、好印象だったイメージも反転したり、逆に好感度が上がるなど、その後の芸能活動の潮目が変わるほどの影響をもたらすようだ。
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