アメリカ産の肉に抗生物質入りが急増している 人体への影響は?

これからは「BLTサンド」という頭字語に、Aを加える必要があるかもしれない。antibiotics(アンチバイオティックス:抗生物質)のAだ。
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これからは「BLTサンド」という頭字語に、Aを加える必要があるかもしれない。antibiotics(アンチバイオティックス:抗生物質)のAだ。

世界の食肉需要の急増を受けて、豚肉、牛肉、鶏肉に含まれる抗菌薬が大幅に増加していることが、機関誌「アメリカ科学アカデミー紀要」に掲載された新しい研究で明らかになった。

しかし、ベーコンの売り上げが伸び、中国(肉の中でも豚肉を好む)が裕福になるにともない、世界の養豚家は、肉1ポンド(約453グラム)当たりで牛よりも4倍の抗生物質を使用することで、需要を満たしている。鶏肉は2番めで、豚肉とほとんど差がない。

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緑のチャートが牛肉、黄色が鶏肉、ピンクが豚肉。このグラフを見ると、豚肉は主に、抗生物質の濃度、使用量ともに最も高いとわかる。

抗生物質を使用する目的は2つだ。1つは、家畜を早く太らせること。そしてもう1つは、病気が拡がりやすい、過密状態で不衛生な条件下で飼育しても健康を保つことだ。

2010年に世界の農場主が家畜を育てるために使用した抗生物質は6万3000トンを超える。そして研究者の予測によれば、2030までに10万5000トン以上になるという。

「人々は裕福になっており、さらに多くの肉を欲しています」。プリンストン大学の疫学者で、この研究論文の著者であるトーマス・バン・ベッケル氏が、ハフポストUS版の電話取材で述べた。「抗生物質は、肉を買える人たちに多くの肉を提供する手助けをしています」

抗生物質を投与された肉の消費は、人体に大きな脅威をもたらす。肉を通して人間用抗生物質に接することで、抗生物質に耐性のある「スーパーバグ」が誕生してしまった。抑制がきかなければ、この細菌により、2050年までに世界で1000万人の死者が出るとする研究者もいる。

この脅威についての認識が高まるにつれ、自社の食肉から抗生物質を排除する企業も出てきた。3月、マクドナルドが同社の鶏肉から人間用抗生物質を排除すると宣言した。ただし、動物用抗生物質の使用は続け、牛肉製品と豚肉製品については、引き続き人間用抗生物質を使用する。アメリカ鶏肉料理料理チェーンの「チックフィレイ」は2014年、鶏肉からすべての抗生物質を排除した。

しかし、食品業界で抗生物質を使わない肉の代表格といえば、ブリトーなどのメキシコ料理チェーン「チポトレ」だ。同社は2015年、供給元で問題が発生し、豚肉不足になったときに、抗生物質の排除宣言を行った。

それでも、より多くの消費者が抗生物質を使わない肉を求めない限り、食肉業界が変わることはないように思われる。アメリカでは抗生物質の使用増加に歯止めをかける法整備もほとんど行われてこなかった。中国では規制する法律すら存在しない

「仮に事態が変わるとすれば、それは消費者がオーガニックベーコンのような、よりよい製品を求めるようになってからになるでしょう」と、バン・ベッケル氏は語った。「ただ、もちろん、すべての人にそうしたものを買う余裕があるわけではありません」

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。

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