若手アニメーターの支援活動をするNPO法人「若年層のアニメ制作者を応援する会(AEYAC)」が1月19日、若手のアニメ制作者を対象とした税務講座を東京で開催する。
AEYACの秋吉亮理事長によると、アニメ制作に携わるアニメーターは会社員ではなく個人事業主が多いという。講座では、確定申告などに必要な税務知識などを税理士から学ぶ。秋吉理事長はハフィントンポストの取材に対し、「学校で税務について学ぶことはあまりなく、まだ業界歴の浅い若手の方が苦労されているのでは」とした上で、「敬遠しがちな分野ですが、少しでもお仕事に関わる税の仕組みや重要性をお伝えできれば」と述べた。
対象は経験3年目以内の若年層のアニメ制作者。アニメーター、美術、撮影、制作進行など、アニメに携わるスタッフが受講できる。参加費は無料、参加申し込みはAEYAC公式サイト内で受け付けている。
■アニメ制作の労働環境、若手にとって「厳しい環境」
AEYACでは、若手アニメーターの生活実態を「単純に賃金や労働条件の観点だけではなく、より多角的な観点から把握」することを目指し、経験年数3年以内のアニメーターを対象にした生活実態(労働条件や居住形態、奨学金の返済状況など)をインターネットを通じて調査。回答者数は153人(男性29%、女性69%、その他2%)。
調査結果(速報版)は2016年12月に公式サイトで公表された。調査結果からは、回答者の半数以上が「家族から何らかの経済的援助を受けて働いている」という実態が浮き彫りとなった。
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居住形態については「実家暮らし」と回答した人が全体の35%。一方で、「実家暮らしでない」と回答した人のうちの31%(全体の18%)が「実家から仕送りを受けている」と回答。回答者全体の53%が、家族からの何らかの経済的援助を受けている結果となった。
また、「奨学金を返済しているか」という設問に対しては、「返済している」と回答した人が全体の33%にのぼった。AEYACは「日本学生支援機構の奨学金の貸与割合(37.7%)と同水準である」と指摘した。
その上で、「アニメーターの生活を苦しくさせている要因として、業界の問題としての低賃金問題だけではなく、若者の労働問題に共通する要素である奨学金の返済負担の問題がある」と分析している。
アニメーターをめぐる労働環境について、秋吉理事長は「ご周知の通り厳しい環境です」と語る。その上で、「AEYACが対象とする若年層アニメ制作者については、学生時代との違いに大きく苦労されていると思われます。AEYACとしては若年層アニメ制作者のキャリア形成のためにお役に立てれば幸いです」とコメントした。
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