世界中の人たちが、ロシアのウクライナ侵攻に衝撃を受ける中、3月4日に開幕した北京パラリンピック。
国際パラリンピック委員会(IPC)のアンドリュー・パーソンズ会長は、開会式スピーチで、戦争に強く反対し平和実現を訴えた。
パーソンズ氏は最初に、世界中のスポーツファンや各代表団のアスリート、大会関係者を「北京2022パラリンピック冬季大会へようこそ」と歓迎した後、「今夜は、まず平和のメッセージから始めたい」と力強い口調で切り出した。
そして、具体的な国名は出さずに「私は今世界で起きていることに強い衝撃を受けています」と述べ、「21世紀は、対話と外交の時代のはずです。戦争と憎しみの時代ではありません」と、戦争を批判するメッセージを口にした。
さらにパーソンズ氏は、アスリートたちにはスポーツを通して平和や共生する世界を作る力がある、と強調。
「パラリンピアンたちは知っています。対戦相手は敵である必要がないことを。ともに歩めば、さらにより多くのことを達成できることを」と述べた。
そして世界各国の当局者に対して「アスリートたち同様一つになり、平和、理解、共生を促してください」と呼びかけ、最後に「平和!」と力強く叫んでスピーチを締めくくった。
スピーチ全文は次の通り。
【パーソンズ会長のスピーチ全文】
今夜は、まず平和のメッセージから始めたい、いえ、始めなければなりません。
共生を中核とし、多様性を祝い、違いを受け入れることを旨とする組織のリーダーとして、私は今世界で起きていることに強い衝撃を受けています。
21世紀は、対話と外交の時代のはずです。戦争と憎しみの時代ではありません。
オリンピック、パラリンピック期間中の休戦は、国連決議として193の国連加盟国の総意で、第76回国連総会で採択されました。
それは尊重し守るべきもので、違反があってはなりません。
IPCでは、より良い皆が共生できる世界、差別や憎しみ、無知とは無縁の紛争のない世界を目指しています。
ここ北京には、パラアスリートたちが46の国や地域から集まり、互いに競い合います。闘うのではありません。
スポーツを通して、彼らは人類の最高の姿を示し、平和や皆が共生する世界の基礎となる価値観を際立たせてくれるでしょう。
パラリンピアンたちは知っています。対戦相手は敵である必要がないこと。ともに歩めば、さらにより多くのことを達成できることを。
今夜、パラリンピックムーブメントは世界各国の当局者に呼びかけます。アスリートたち同様一つになり、平和、理解、共生を促してください。
世界はともに生きる場であるべきです。分断されてはなりません。
変化はスポーツから始まります。それは調和をもたらし、またそれがきっかけとなって、人々の生き方、街、そして国をも変えることができます。
史上初の、夏季冬季両パラリンピックの舞台となる北京は、その証です。
大会前、何十万もの施設がバリアフリー化されました。会場は壮大であり、組織運営は際立っています。新型コロナ対策も万全、かつ、効率的です。
中国国民のおもてなしの精神により、最高のパラリンピック、ウインタースポーツの披露の場ができました。
さらに障がいのある人々にウインタースポーツを体験する機会も提供され、素晴らしいです。
中国国民の皆さん、謝々(ありがとうございます)!
パラリンピアンの皆さんが、スポーツを糧に障がいを受け入れた瞬間がありました。
障がいによって規定されることなく、自分の一部とし、そこに自らの強みを見出したのです。
弱さと見られがちな障がいに力を見出し、自分の可能性を最大限発揮しています。
世界人口の15%が障がいのある人々ならば、パラリンピアンは残り85%の人々に、障がいのある人々がどんな望みでも、機会さえ与えられれば叶えられることを見せています。
それゆえにIPCと国際障がい同盟の指導のもとWeThe15キャンペーンが立ち上げられ、18の国際機関連合とともに歩んでいます。WeThe15は障がいの可視化、アクセス性、共生と平等の権利のためのキャンペーンです。
世界の12億の障がいのある人々は、人生を謳歌し、夢を追い、紆余曲折を生き抜き、社会貢献する機会を同様に持つべきです。
人類そして一人一人がそのような変化を約束し、このような機会を保障すべきです。
最後にパラアスリートの皆さん、本大会のための準備、とりわけパンデミック下においては決して容易ではなかったと思います。皆さんは決意の意味を示し、忍耐を体現しています。
自ら成し遂げたことを喜び、自分の力で世界を変えられる。変えることを誇りに思ってください。
そしてどうかフェアプレーのもと、楽しんでください。皆さんの健闘を祈ります。
謝々! Thank you very much! Muito obrigado!ピース!