ふたりの女性から性的ハラスメントを告発されているアメリカ・ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事が2月28日、告発に対する声明を発表した。
クオモ氏は行動を謝罪する一方で、「性的な誘いの意図はなかった」と主張している。
声をあげた女性たち
声明でクオモ氏は「職場で、ふざけたりジョークを言ったりすることがある」と説明。
「私の行動が配慮を欠いていたこと、親密すぎたこと、そしていくつかのコメントで、相手に私の意図とは異なる感じ方をさせてしまったことを今は理解しています。いくつかの発言が望まない誘いとして受け止められたことを認め、心からお詫びします」と述べた。
クオモ氏の性的ハラスメント発言を告発したのは、元エグゼクティブ・アシスタントで2020年11月まで政権の健康政策アドバイザーだったシャーロット・ベネット氏だ。
ベネット氏はニューヨークタイムズに、「クオモ氏からセックスライフについて尋ねられたり、性的な誘いをほのめかす発言をされたりした」と語っている。
ベネット氏によるとクオモ氏は2020年6月、2人だけで知事室にいた時に、25歳のベネット氏に年上の男性とセックス経験はあるか、恋愛関係に年齢は関係あると思うかといった質問をし、自分は20代の女性と関係をもてるとも語ったという。
発言は明らかに性行為に誘うものであり、「とても怖かった」とベネット氏は語っている。
クオモ氏はニューヨークタイムズに「メンターとして行動していたつもりだった」「決してベネット氏を性的に誘おうとしたわけではなく、不適切な行動は何もしていない」とコメントしている。
ベネット氏が声をあげる前には、州の元経済開発局副長官でクオモ氏の特別アドバイザーだったリンジー・ボイラン氏もクオモ氏の性的ハラスメントを告発している。
ボイラン氏は2月半ばに、クオモ氏から何年間も性的ハラスメントを受けていたとTwitterで公表。
その後、クオモ氏に同意なしにキスされたり、体を触って元恋人と比較されたりしたと明かした。
クオモ氏側は「主張は虚偽である」、とボイラン氏の告発を全面的に否定している。
ボイラン氏のツイート:クオモ政権で働いていた時の経験は公表するつもりではありませんでした。しかし他の人が真実をより語りやすくするために、私は声を上げることにしました
ベネット氏のツイート:クオモ政権で働くというのがどういうことかを知りたい方は、リンジー・ボイランの書いた経験を読んでみてください
司法省が調査へ
自身の性的ハラスメント疑惑の調査についてクオモ氏は27日、元連邦裁判所判事のバーバラ・ジョーンズ氏を任命すると発表した。
しかしこの任命を、州の民主党議員らは「疑惑を受けた本人が調査担当者を任命すべきではない」と批判。
そのためクオモ氏は28日朝にレティシア・ジェームス州司法長官とジャネット・ディフォーレ州最高裁長官に、共同で調査担当者を指名するように求めた。
しかしジェームス司法長官は知事の提案を拒否。「州の法律は、我々のオフィスにこの件を調査する権限を与えている」と述べて、自身に調査を一任するよう求めた。
クオモ氏は要求を受け入れて、ジェームス氏が指名した外部調査員に訴追権限を与えると発表した。
クオモ氏は、ニューヨーク州での新型コロナウイルス拡大を抑制した手腕が高く評価されたが、その最中に性的ハラスメント発言をしていたことになる。
また性的ハラスメントだけではなく、2月には高齢者施施設の新型コロナ感染症死者数を過小報告していたことも明らかになっており、批判を受けている。