発作で記憶をなくし、交際中の男性のことを忘れてしまった女性が、男性の献身的な支えで再び恋に落ちた。ドラマや映画の出来事ではなく、現実に起きた話だ。イギリス大衆紙SUNなどが報じている。
ジェシカ・シャーマン(20)は2016年3月、付き合って数ヶ月の恋人リッチ・ビショップ(25)と、イギリス・ケント州のタンブリッジウェルズから電車で勤務先のロンドンに向かっていた。その最中に、突然発作に見舞われた。
ジェシカはSUNの取材に対して、当時のことをこのように振り返っている。
「誰が誰か分からなくなり、とても怖くなりました。全ての人が知らない人見え、自分の名前すら分かりませんでした。覚えているのは、3月のあの日に電車に乗り込んだことだけです。私の体がぐったりとなり、両目が曇っていたと聞かされました」
ジェシカはリッチに支えられながら会社に到着。母親が駆け付けたが、誰か分からず、「母親だ」と繰り返してもぽかんと見返すだけだった。自分が誰なのかも分からず、母親に見せられた写真と鏡に映った自分が同じだっため、家に帰ることにした。
両親がジェシカをロンドンの神経科病院に連れて行くと、発作を原因とする記憶喪失と診断された。14歳の時から発作持ちだったため、瞬間的に記憶が飛ぶことはよくあったが、これまで大きな支障はなかった。医師からは「記憶を取り戻すのに6ヶ月かかるかもしれない」と言われた。
退院後、ジェシカはリッチのことを受け入れようと努力したが、赤の他人にしか思えず、一緒にいるのが嫌だったという。2人の思い出の公園に連れて行かれても、リッチの隣を歩くことさえしなかった。記憶がなくなってから2週間後、ジェシカが別れを告げようとしたが、リッチは決して諦めなかった。
ジェシカはイギリスのデイリー・ミラー紙の取材に対し、「リッチの熱心さを見ているうちに、彼は私を気にかけてくれると確信し、彼とデートすることを承諾しました」と説明。「お気に入りのレストランに連れていってもらい、2人の思い出を全て話してくれました。初めて恋に落ちた時は覚えていないですが、2度目ははっきりと覚えています」と話した。
リッチの献身的な支えが実を結び、2人は再び恋人に戻ることができた。ただ医師の診断では、今後また50%の確率で記憶をなくす可能性があるという。それでもジェシカは、「リッチは2度も好きにさせてくれたので、また次もそうしてくれる。今は新しい思い出を作ることを考えたい」と前向きに語っている。