「ドイツはアメリカを救う」 なぜこんな広告が?

アメリカでは実は数千万人の人たちが飢えに苦しんでおり、特に子供たちは、給食がなくなる夏休み中は飢餓の問題が深刻になる。この問題に立ち向かうために「ドイツはアメリカを救う」という広告が作られた。

冒頭の広告動画では、暗い表情をした女の子にドイツ語を話す女性が寄り添い、飢餓に苦しむ子供たちを助けるように求める。

一見、恵まれない国の子供への支援を求めるキャンペーンのように見えるが、これは実は飢餓に苦しむアメリカの子供たちの現状を伝える広告だ。

広告のタイトルは「ドイツはアメリカを救う」。女性が語るドイツ語の英語字幕は、少女が栄養のある食事が出来ないために、糖尿病と心臓病になるおそれがあると伝えている。そして「アメリカでは4900万人が食料不足に苦しんでいる」という説明の後、「飢えに苦しむ人の割合が20%のアメリカは、6%のドイツに助けてもらう必要がある」と結んでいる。

世界で最も強力な国だと考えられているアメリカだが、実は数千万人が飢えに苦しんでいる。その現状を伝えるために、NPOの「シェア・アワー・ストレングス」は、アメリカの飢餓問題に取り組むキャンペーン「グレイト・ネイション・イート」を立ち上げた。そしてイギリスの広告代理店「バートル・ボーグル・ヘガーティ」と協力して制作したのがこの公共広告だ。

アメリカの食品研究行動センター(FRAC)によれば、アメリカでは2012-2013年度に2150万人の生徒が無料または割引料金で給食を利用した。そうした子どもたちの多くは、保護者が経済的に困窮していて、地域で提供される食料プログラムも利用していない。そのため、学校が夏休みの間は給食がなくなり更なる飢えに苦しむのだ。

この問題に立ち向かうために、グレイト・ネイション・イートは夏休み期間にあわせて「ドイツはアメリカを救う」広告を、20以上の全国ネットのTV放送局で放映し、社会の意識を高めようとしている。

また、グレイト・ネイション・イートはこの他にも支援が必要な子供たちに助けとなるプログラムを提供したり、家庭に健康的でお金のかからないレシピを紹介したりして、子供たちの栄養状態の改善に取り組んでいる。

シェア・アワー・ストレングスの創設者でCEOのビリー・ショア氏はキャンペーンの声明で「飢餓はアメリカ国民の6人に1人の生活に影響を与えており、アメリカ全体が抱える問題です。このような状況は、ほかの先進国では見られず、アメリカでも起きるべきではないのです」と述べ、アメリカの飢餓問題を終わらせるよう力強く訴えている。

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。

[日本語版:梅田智世、合原弘子/ガリレオ]

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