センター長公募に、副市長の給与をうわまわる年俸1,200万を提示して全国的な話題となった熊本県天草市(人口約8万7千人)。Ama-biZ(アマビズ)は天草市役所や商工会議所、商工会らが共同で設立した公的な中小企業・創業企業の相談所だ。
こうした産業支援機関の相談員公募では全国的にも異例となる101名の応募が全国から殺到し、書類選考と面接選考を経てセンター長・副センター長が選ばれ、4月5日にスタートしています。応募者の中には、上場企業役員経験者や起業経験者、金融機関幹部など全国からかなり幅広い人びとの応募があったとのこと。
選考委員には、地元の事業経営者や、実際に売上アップを支援する公的産業支援機関として全国から注目される成果を上げてきた富士市産業支援センター・f-Biz 小出宗昭センター長らが名を連ねた。大学教授など「研究者」ではなく、実際に売上アップにこだわる人びと自らで、成果を生み出す相談員を選んだ形だ。
センター長には、東京大在学中にITベンチャーを創業し、20年近く事業を行ってきている野間英樹(38)さん、そして副センター長には大手外資系コンサルティング会社での勤務を経て、複数の企業経営に携わってきた内山隆(49)さんが選ばれて着任。おふたりとも天草島外出身ながら、移住してのスタート。
地方創生が全国的に大きな関心になっている中で、注目を集めているこの取組み。スタートして1ヶ月となるが、想定を超える順調な滑り出しを見せている。
Ama-biZと同じく、富士市産業支援センターをモデルとして中小企業庁が各県の県庁所在地に1ヶ所、昨年6月に設置した「よろず支援拠点」は、設置から4ヶ月間の平均来訪相談件数が約62件/月だったのに比較しても(遅れて7月より開設された7県分は除く)Ama-biZはスタートの1ヶ月で、77件の相談が寄せられ、すでに相談は1ヶ月待ち。
人口8万7千人の島にできたAma-biZと、全県を対象として県庁所在地に設置されたよろず支援拠点との比較でみても、それを上回る来訪相談者数は、順調な船出と行って良いだろう。
設置当初は、よろず支援拠点や富士市産業支援センターの立地する都市部に比較して人口の少ない天草市で、こうした相談所が支持されるのかといった不安視する見方も一部あったようだが、それを払拭する上々の滑り出しとなっている。補助金や助成金、制度などの紹介などにとどまっているとの指摘もあった既存公的産業支援機関に対して、地域の中小事業者の「売上アップ」に特化したサポート姿勢が高く期待、評価されている、という状態だ。
すでに来訪相談者のうち、おそよ80%は次回予約を行っているなど、相談内容も地元事業者に支持されているとのこと。地方創生がキーワードとなる昨今、今後、Ama-biZから生まれる地域の中小事業者の活性事例に注目していきたい。