新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、SNS上では「アマビエ」という妖怪の絵を描く人が相次いでいる。一体どういうこと?
■アマビエってどんな妖怪?
アマビエは江戸時代末期の弘化3年(1846年)に、現在の熊本県に出現したと言われる妖怪。この妖怪に関する記述をした瓦版が、京都大学附属図書館に所蔵されている。
湯本豪一さんの『明治妖怪新聞』(柏書房)では、瓦版の内容を以下のように紹介している。
<肥後の海中に毎夜のように光るものが出没する。役人が調べたところ、それは「アマビエ」と名乗る怪物で、六年間の豊作を予言し、病気が流行したら自分の姿を写して人々に見せるようにと伝えて海中に消えたという。>
この瓦版には、波間に立つアマビエの奇妙な姿が描かれている。長髪の人魚のようだが、鳥のようなクチバシを持ち、胴体には魚のようなウロコ。3本足ですくっと立っている。
アマビエは、妖怪をテーマにしたアニメ「ゲゲゲの鬼太郎」の第5作にも登場している。
■流行のきっかけは?
そのアマビエのイラストを描くことが、SNS上で流行するきっかけとなったのは、妖怪掛け軸専門店の「大蛇堂」の2月末のツイートだった。 新型コロナウイルスの感染拡大に触れた上で、「妖怪の中に『流行り病がでたら対策のためにわたしの姿を描いて人々にみせるように』と言ったのがいる」とアマビエを紹介。続くツイートで「妖怪絵描きのみなさんには、今こそアマビエの絵をあげてほしいところです」と訴えた。
この呼びかけを受けて、新型コロナウイルスの感染が終息することを祈願して、ネット上に次々にアマビエのイラストが投稿されることになった。
元となった瓦版のイラストも奇妙な味を出していたが、そこからイマジネーションを広げて、思い思いのアマビエが描くことで、新型コロナウイルスの沈静化を祈っている。
その一部を紹介しよう。