太陽系外から飛来した天体「オウムアムア」の正体は異星人の探査機かもしれない。アメリカのハーバード大学の研究者が驚くべき論文を10月26日に発表した。
■オウムアムアとは?
デジタル大辞泉によると、オウムアムアは、ハワイ語で「最初の使者」という意味。2017年10月、ハワイ大学のマウイ島の天文台で発見された。太陽系外から飛来した観測史上初の恒星間天体で、長さが400メートル以上ある極端に細長い葉巻型だ。
2017年9月に太陽系外から飛来し、太陽の重力の影響を受けてUターンして、再び太陽系外に出ていったとみられている。
■太陽から遠ざかる際に、あまり減速せず
アメリカ航空宇宙局(NASA)などの観測チームは6月28日、ハッブル宇宙望遠鏡や地上の望遠鏡の観測から、意外な事実を明らかにした。太陽から遠ざかるにつれてオウムアムアの速度は落ちていくが、この減速の割合が、重力の影響だけを受けている場合の値よりも小さかったのだ。
彗星の特徴であるガスを吹き出していなかったが、エンガジェット日本版によると「長さ約400m、直径約30mほどという小さな天体を加速できる程度のガスが噴き出していても、それは観測できるほどの現象にならないないかもしれない」と観測チームは説明。「オウムアムア」を彗星の一種と発表した。
■減速しなかった理由は、ソーラーセイル?
しかし、ハーバード大学の天文学者、エイブラハム・ローブ教授らが10月26日、論文投稿サイト「arXiv」に驚くべき論文を投稿した。
それによると、オウムアムアが、太陽に遠ざかる際にガスの放出が観測できないのに、十分に減速しなかった理由は、太陽光のエネルギーで動く「ソーラーセイル」という装置を搭載していた可能性が考えられるとした。
ソーラーセイルは「ヨットの帆」の宇宙版と言える人工物だ。太陽の光やイオンを薄く広い膜で反射することで加速する。日本の宇宙機関「JAXA」が2010年に打ち上げた実証機「IKAROS」で初めて実用化されたものだった。
ローブ教授らは、論文の中で以下のように書いている。
「人工的に作られたと考えると、『オウムアムアはソーラーセイルであり、高度なテクノロジーで作られ、星と星の間を浮遊するスペースデブリだ』というのが一つの可能性だ」
「あるいは、もっと風変わりなシナリオとしては、オウムアムアは、異星人の文明から意図的に地球付近に送られた探査機だったかもしれない」