アルコール依存症はは回復はしても完治はしない。何十年断酒をしていようと一度呑んでしまえば、元の木阿弥――
人気漫画家・吾妻ひでおがアルコール依存症で入院した日々を描いた漫画『失踪日記2 アル中病棟』(イースト・プレス)が10月6日に発売された。
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自身の失踪体験をまとめ、30万部のベストセラーとなった衝撃作『失踪日記』。大きな反響を呼び第34回日本漫画家協会賞大賞、第10回手塚治虫文化賞マンガ大賞をはじめ数々の賞を総なめした。あれから8年を経て、アルコール依存症で入院する日々をつづった渾身の描きおろしが発表された。336ページにおよぶ大作だ。
アルコール依存症となり、担ぎ込まれた通称「アル中病棟」。入院にいたるまでの、過度の飲酒、幻覚、幻聴、錯乱状態、自殺念慮……の日々や、病棟でのエピソードが克明に描かれている。お酒の恐怖や、個性豊かな患者や医者たち、厳しく可愛いナース、教育プログラムの様子などが、ギャグタッチで明るく表現されており、吾妻さんがどのようにしてアルコール依存症から抜け出したのかがわかる。
刊行に際して吾妻さんと対談を行った漫画家のとり・みきさんは、本作の魅力について「ご自身のことも含めて、いいことも悪いことも等価に描かれているのは非常によかったです」と語る。吾妻さんは、お酒を飲まない秘訣について「あんまり先のことを考えないで、展望を持たないってことかな。今日一日が楽しければいい。酒呑まないと朝の目覚めもいいですからね。メシもうまいし」と語っている。
ハフポスト日本版編集部の取材に対し、イースト・プレスの担当は「退院後もずっと断酒を続けておられること、また8年かけてひとつの作品を完成されたこと、辛い体験も笑いに昇華してしまえること──吾妻さんはこう見えて、実は非常に精神力の強い方だと感じています。ぜひ、多くの方々に楽しんでいただければと思います」と抱負を語った。
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