「aiwaは日本で生まれた宝物」三井知則社長、9年ぶり復活の理由を語る

30代以上の人には、お馴染みのオーディオ機器のブランド「アイワ」が9年ぶりに帰ってくる。
|

30代以上の人には、お馴染みのオーディオ機器のブランド「aiwa(アイワ)」が9年ぶりに帰ってくる。

aiwaは、ソニーのグループ企業だったアイワ株式会社のブランド。日本初の「ラジカセ」を作ったほか、ヘッドホンステレオ、ミニコンポなどを幅広く展開していた。海外との価格競争が激化し、デジタル対応が遅れたことで2002年にソニーに買収されて会社は消滅。2008年には、aiwaブランドの製品も生産終了した。

休眠状態になっていた「aiwa」の商標を、秋田県小坂町の電機会社「十和田オーディオ」がソニーから譲渡を受け、グループ会社としてアイワ株式会社が4月に東京・品川に誕生した。アイワでは9月から、CDラジカセや4K液晶テレビ、ハイレゾ音楽プレイヤー、USB対応レコードプレイヤーなどを全国の家電量販店や総合スーパーで発売する予定だ。

■「日本の企業が再生させるというのは非常に価値がある」

Open Image Modal

アイワの三井知則社長(左)と、取締役の中村和臣さん

旧アイワと同様に、性能的には大手メーカーに引けを取らないものを買い求めやすい値段で提供していくという。アイワの三井知則社長は、ハフポストの取材に対して以下のように語った。

「十和田オーディオグループは他社の電子機器の受託生産が主力ですが、独自のブランドでビジネスを展開できないか模索していました。そこで多くの人になじみ深いけど、現在は使われていないaiwaのブランドを活用できないかということで話が進みました」

シャープが台湾のホンハイ精密工業の傘下になるなど電機メーカーが業績不振で、海外メーカーの傘下に入ることも多いが、aiwaは国内メーカーの手で復活することになったことについ、以下のようにコメントした。

「aiwaというワールドワイドで展開していた日本発のブランドがあって、それは一つの宝物だったと思うんですね。それを日本の企業が再生させるというのは非常に価値があることだと思います」

取締役の中村和臣さんは、旧アイワ出身だ。90年代に使われたアイワのロゴマークが復活したことも感慨深いが、古巣の復活だけにプレッシャーも感じているという。

「旧アイワはグローバルな大企業でしたが、今度はスタートアップ企業として、いろいろな会社と提携して最新の技術を取り入れながら、アイワというブランドの価値を一層高めていきたいです」

販売を手がける角田(かくた)無線電機の釆田(わけた)修広専務は「一定以上の年齢だったらみんなが知っているブランド。『アイワの製品を昔はよく使ってたんだ』とお父さんが子供に買ってあげるなど、需要を掘り起こしていきたい」と話していた。

■aiwaってどんなブランド?

Open Image Modal

新生aiwaの商品ラインナップ

コトバンクによると、アイワの創業は終戦直後の1946年。合資会社・愛興電機産業社が、マイクロホンを販売したのがスタートだった。1959年にはアイワ株式会社と社名変更。その2年後にラジオの生産を開始した。

1968年には日本初のラジカセを発売。80年代には「ウォークマン」のアイワ版といえる「カセットボーイ」が人気を集めた。

海外生産をいち早く打ち出し、90年代初頭には他社のほぼ半額の5万円台のミニコンポを出すなど価格競争の火付け役となり、世界的なブランドになった。

しかし、中国メーカーを中心にした価格競争の激化で急速に収益が悪化。2002年にソニーに吸収合併され、08年には「aiwa」ブランドの商品の生産が終了していた。

■関連スライドショー(新生aiwaの製品)

(※開かない場合は、こちらへ)