民泊、無許可営業の取り締まりを強化へ 「規制緩和」実は高いハードル

「民泊解禁」された一方、無許可営業に対する摘発は今後より厳しくなりそうだ。
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時事通信社

無許可で民泊を営業したとして、大阪市生野区の女(71)らを4月26日、大阪府警が旅館業法違反(無許可営業)の疑いで書類送検した。朝日新聞デジタルなどが報じた。

外事課によると、女は昨年1月~今年2月に自ら借りた生野区のマンションなど3カ所で、夫婦は昨年6月~今年2月に一戸建ての自宅など2カ所で、大阪市から旅館業の許可を受けずに韓国人観光客らを有料で宿泊させた疑いがある。

(朝日新聞デジタル「民泊を無許可で営業、容疑の女ら3人を書類送検 大阪」2016年4月26日16時50分)

民泊は、2016年4月に旅館業法が一部改正され「事実上の解禁」として報じられた。一方で、無許可営業に対する摘発は今後、より厳しくなりそうだ。

■「許可」には依然、高いハードル

国は、2016年4月に旅館業法を一部改正、客室の延べ床面積基準などを引き下げる規制緩和を行った。産経ニュースなどは全国で事実上の「解禁」と報じている。

しかし、旅館業法の許可が必要なくなったわけではない。依然として、「住居専用地域」での営業はできないことや、避難経路を確保することなど、許可を得るには高いハードルが設けられている。

また、大阪府では2015年11月、国家戦略特区の特例を活用して「民泊条例」を成立させ、府内37市町村で適用されるなど、独自の規制緩和を行っている。だが、こちらも許可には最低6泊7日の宿泊という制限や、近隣の苦情に24時間対応することなど厳しい条件が設定されており、許可申請が始まった4月1日時点での申請はわずか1件だったと毎日新聞などが報じている

しかし、民泊を仲介する大手サイトairbnb上では、摘発のあった大阪市内だけでも300件以上の部屋が紹介されている、民泊サービスは既に日本でも一般的になっていることがわかる。

これらのほとんどは許可を得ずに違法営業をしているとみられ、いつ摘発対象になってもおかしくない状態と言える。

さらに、2016年3月、違法民泊に対しては罰則を強化するという方針が示されている。

厚生労働省・観光庁では現在、「民泊サービス」のあり方に関する検討会 を開催して、審議を進めている。

2016年3月に発表された検討会の中間整理によると、規制緩和と並行して、現在無許可で営業している人々に対しては厳しく臨むことが確認されている。今後、今回のような摘発はより頻繁に行われることも予想される。

○自宅の一部やマンションの空き室などを活用する場合においても、反復継続して、宿泊料とみなすことができる対価を得て人を宿泊させるサービスを提供する場合には、原則として、旅館業法の許可を取得することが必要である旨を改めて国民、仲介事業者等に周知するとともに、併せて、今般、講じる予定の基準緩和措置の内容について、国民、仲介事業者、自治体等に周知徹底を図り、反復継続して有償で行われる民泊サービスについて、旅館業法の許可取得を促すべきである。

○旅館業法に基づく営業許可を受けずに営業を行っている者(以下「無許可営業者」という。)その他旅館業法に違反した者に対する罰則については、罰金額を引き上げる等実効性のあるものに見直すべきである。

「民泊サービス」のあり方について(中間整理)より

この検討会は2016年秋にも結論を出すとして始まり、中間整理ではよりスピードアップすることが発表されている。

厚生労働省は「民泊サービスと旅館業法に関するQ&A」を公式サイトに掲載し、啓発を進めている。