「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」が中止になった問題で、愛知県の大村秀章知事は7日午前の定例記者会見で、「全面的に再開するのがミッション」とし、文化庁の補助金不交付にも言及した。
再開時期について大村知事は、一定の条件を満たせば「10月6~8日」を視野に入れて準備を進めていたが、6日は再開されず、7日は休館日だった。
現状について大村知事は「具体的にどうやって現場の安全を確保するか、協議を進めている」と説明。来場者の入場方法や手荷物の検査、警備員の増強について準備をしているとした。県の担当者やキュレーター、不自由展の実行委らと協議を続けているとし、「誠心誠意、全力で取り組んでいきたいと思っている」と話した。再開が8日以降にずれ込む可能性を問われると「わかりません。真摯に協議を続けているということです」と述べるにとどめた。
一方、芸術監督の津田大介さんは6日に名古屋市内で開かれたフォーラムの中で、再開できるかどうか「五分五分」とした上で、「参加作家の中には8日に再開されなければボイコットすると言っている人もいる。8日に再開できなければ、トリエンナーレ自体が8日で空中分解してしまう可能性もある」と危機感を示していた。
これに対し大村知事は「私も芸術祭の会長として円満な形で全面再開したいというのは同じ。イレギュラーな形で終了するということではなくて、8月1日にスタートしたときの展示が全面的に再開するのが我々実行委のミッション」と話した。
また、文化庁があいちトリエンナーレ2019に対して採択を決めていた補助金約7830万円を「愛知県側の手続きの不備」を理由に不交付とした問題について、大村知事は「我々の手続きには瑕疵がないと思っている。公平性に照らしてどうだったのか、ほかの採択事業についても途中経過を報告させてチェックをしてこられたのか、しっかりと教えていただかないといけない。あいトリだけ『特別扱い』をしたとなれば裁量権の逸脱になるのではないか」と指摘した。