7月24日、2018年ワールドカップ・ロシア大会を目指す、サッカー日本代表の監督になることが決まった、ハビエル・アギーレ氏。8月中旬に迫った来日を控え、日本代表を率いることになったきっかけや日本への印象を、スペインのスポーツ専門紙・マルカのインタビューで答えた。
――日本を選んだ理由は?
16人の選手が欧州でプレーする日本を率いることは、自分自身の成長にもつながる仕事だと思った。私はこれまで1年契約しかしてこなかったが、日本とは4年契約を結んでいる。
――スペインで監督を続ける可能性もあった?
エスパニョールの監督をやめたとき、ヨーロッパのいくつかのクラブからオファーがあったが、家族と話し合って日本を選んだ。
――スペインに飽きたのでは?
そんなことはない。ただ、新しい挑戦がしたかった。スペインリーグも魅力的だが、小さいクラブでは十分な予算がなくていつも降格争いをしなくてはならない。もちろん、エスパニョールにはとても感謝しているし、11年もいたスペインを離れるのはつらいけれど。
――スペインに戻ってくる?
いつかは。家も両親もスペインにあるし、人生の大半を過ごした場所だ。子供も育って家を出ているから、日本に4年間行けることになった。メキシコを率いていたサイクルが終わったように、スペインのサイクルもまた終わったということ。
――日本を選んだきっかけは?
メキシコ代表を率いた2010年のワールドカップのあと、日本のスタッフとマドリードで会った。その時は、家庭の問題で契約には至らなかったが、関係は続いていた。日本は私が率いた2002年と2010年のメキシコのスタイルを気に入っていたし、メキシコ人と日本人は体格が似ている。5人のディフェンスラインで守ってボールを奪い、そして攻める。そういうサッカーをやるつもりだ。
――日本に足りないものは?
勝負強さを植え付けたい。ゲームマネージメントと、ラテンのずる賢さ。もちろん、フェアプレーは前提だが。日本のサッカーはスピードとテクニックに優れるが、したたかさに欠ける。おそらく、フットボール的な意味において、正直すぎるのだろう。そこが一番の問題だし、取り組まなければならないことだ。
――難しい問題だ。メンタル的にも文化的にも変革が必要になる。
その通り。我々はストリートのラテン人から学ぶが、日本人にはフェアプレーの文化がある。私が教えたいのは、どうやって勝ちきるか。重要なシーンをどうやって守るか。たとえば、終了間際にキーパーが時間を稼いだり、15秒を稼ぐためにショートコーナーを使ったり……。あくまでルールの中で、ゲームを壊さず、勝つ方法だ。
――2016年のリオデジャネイロオリンピックも率いるのか?
オリンピックチームの監督に助言はするが、監督はしない。私の仕事は決まっている。新しい選手を見つけにJリーグの試合を見なければいけないし、15人の欧州組のチェックもしなければならない。
――香川真司、本田圭佑、長友佑都……。決して悪いチームではない。
どんなメンバーになるかはわからない。スペインのコルドバにはハーフナー・マイクもいるしね。ただ、欧州組の多くはイタリアかドイツ。いっぱい旅をして、ビデオを撮ることになるだろう。たしかに、素材は素晴らしい。テクニックがある。
――来年1月にはアジアカップがある。日本は前回、優勝している。
日本は過去4回中、3回優勝している。開催国のオーストラリアと韓国との戦いになるだろう。2017年に行われるコンフェデレーションズカップの出場権を取るためにも、優勝しなければならない。
――2018年では、日本がこれまで達したことのない成績(ベスト8以上)が求められる。
私にはメキシコでの経験がある。2002年も、2010年も本番まで1年しか与えられないなかでの成績だった。日本では、2018年ワールドカップまでが私の仕事。3試合、ないしは4試合の重要なゲームを戦って、私のサイクルが終わることになるだろう。
――日本語はできるのか? ペップ・グアルディオラはバイエルン・ミュンヘンの監督に就任した最初の記者会見でドイツ語で話していたが……
(笑)それは無理だ。基礎的なところから勉強する。フォルランから聞いたが、日本語の発音にはちょっと驚いた。普段は英語を使うことになるだろう。もう少し日本での時間が必要だ。
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