アフガニスタンに駐留するアメリカ軍などが拘束したテロ容疑者の扱いを検討している調査委員会は、反政府勢力タリバーンの武装兵ら37人を釈放することを決めた。駐留アメリカ軍が1月27日明らかにした。アメリカ側はこれに強く反発している。両国の関係は、アメリカ軍の駐留延長の是非をめぐってこじれており、アフガン側が釈放を強行することでさらに悪化する可能性がある。朝日新聞は次のように報じた。
釈放が決まったのは、米軍などが作戦中に拘束し、首都カブール北方のバグラム米軍基地の施設に収容してきた反政府勢力タリバーンの武装兵ら。収容施設は2001年の対テロ戦開始直後に設置され、キューバのグアンタナモ米軍基地と並んで国際的な批判を浴びたため、昨年3月、アフガン側に管理権が移された。
収容者の大半はその後、アフガン側により裁かれたり、釈放されたりしてきた。米側は最後に残った88人について、テロや攻撃に関与した証拠が明確で、治安上の危険が高いとして、釈放に反対。37人はその一部で、米軍は「アフガン治安部隊11人と米軍や同盟軍の要員42人を死傷させるなどした証拠がある」としている。
(朝日新聞デジタル「アフガン政府、テロ容疑者37人釈放 米軍側は激怒」 2014/01/27 23:08)
アメリカ側は釈放の決定を強く非難している。時事通信は次のように報じた。
【ワシントン時事】米国防総省のウォレン報道部長は27日、アフガニスタン当局がテロ容疑者37人の釈放手続きを始めたことについて、「超法規的措置であり、強く非難する」と述べた。
報道部長は37人に関し「安全保障上の真の脅威だと捉えており、訴追に値することを示す強力な証拠もある」と強調。その上で「アフガン当局は危険な反政府分子を釈放しようとしている」と批判した。
(時事ドットコム「テロ容疑者釈放を非難=米」 2014/01/28 08:10)
アメリカとアフガニスタンは、2014年末に任期が切れるアメリカ軍の駐留延長に向けた協定の締結に関してしっくりいっていない。アフガニスタンのカルザイ大統領は、アメリカ軍が来年以降も駐留を継続するための条件として、タリバーンとの和平交渉の進展を挙げた。これについてもアメリカ側からの反発が予想されている。NHKは次のように報じている。
カルザイ大統領は25日、首都カブールで記者会見し、国際部隊が戦闘任務を終えることし末以降もアメリカ軍が駐留を継続するための条件として、「反政府武装勢力タリバンとの和平交渉を開始しなければならない」と述べ、暗礁に乗り上げているタリバンとの和平交渉をアメリカが仲介して進展させることを挙げました。
そのうえで、カルザイ大統領は、条件がのめないのであれば、アメリカ軍はアフガニスタンから撤退してもよいという考えを示しました。
(NHKニュース「米の駐留継続「和平交渉進展が条件」 2014/01/26 04:08)
カルザイ大統領は、協定の締結に関して条件を次々とアメリカ側に突きつけており、最終的な合意には至っていない。署名を先送りすることで何らかの譲歩を引き出そうとしていると言われている。
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