アフガニスタンの最年少ラッパーの1人、ソニタ・アリザデさんが、最初に結婚させられそうになったのは10歳のときだ。
「本当につらい経験でした。自分の人生を諦めなければならないんなんて理解できなかった」とアリザデさんは4月7日にニューヨークで開催された「ウィメン・イン・ザ・ワールド」サミットで述べた。
再び結婚させられそうになったのは、16歳のときだ。母親から、兄弟の結婚費用を支払うために9000ドル(約97万円)で売られることになっていると、告げられたのだ。しかし、家にはそんな大金はなかった。
そこで、「売られる花嫁」というタイトルのミュージックビデオを作成した。ビデオは、公開するとすぐに世界中で視聴されるようになった。 現在までに40万回以上再生されている。
アフガニスタンのラッパー、ソニタ・アリザデのパフォーマンス。ウィメン・イン・ザ・ワールド・サミットのオープニングを飾った。
歌詞にはこう書かれている。「私は伝統に当惑している / 彼らはお金のために少女を売る。選択する権利なんかない / 人間らしく生きるために、私ができることを教えて」
「私は両親に売られようとしていたのです。誰かにこの気持ちをわかってほしかった。だから、女の子でいることがどれだけつらいか、ラップで伝えることにしたんです」と、アリザデさんはサミットで語った。
ビデオを見て心を動かされたアリザデさんの母親は、娘を結婚させないことにした。それだけではない。動画を見たアメリカ・ユタ州の高校が、奨学金を提供し彼女を受け入れると申し出たため、アリザデさんは結婚せずにすんだだけでなく、教育を受けられることになった。
「初めて、ちゃんとした学校に通えるようになったんです。でも英語を話せなかったから、初めは本当に大変でした。私が知っていた英語は『ハイ』と『バイバイ』の2つだけでした。だけど今では、成績でAを取るまでになりました。将来はハーバード大学に行きたいです」と、アリザデさんは語った。
また、違法であるにもかかわらず、未だに農村部では児童婚が広く行われている。貧困に苦しむ親たちが、借金の返済や持参金目当てに娘たちを売り飛ばしているのだ。ユニセフは、未成年での結婚は、少女たちの発育に悪影響を与えると警告している。彼女たちは学校に通えなくなるだけでなく、家庭内暴力の被害者になりやすくなる。
「私の友人たちは、15歳で結婚しました。中には、顔にあざができている人もいました。それを見て気付いたのです。これが児童婚の本当の姿なのだと」アリザデさんはサミットで述べた。
アフガニスタンのカブールで、花嫁衣裳に身を包む3歳のスナムちゃん。まだ喋ることもできないが、父親は彼女を従兄のニーム君(7歳)と婚約させた。ニーム君の母親(父親の妹)には娘がおらず、欲しがっているためだ
アリザデさんは今、児童婚反対運動に熱心に取り組んでいる。
「アフガニスタンだけでなく、世界中で児童婚させられている子供たちがいます。自分の気持ちを口にできない少女たちを代弁するために、私はここにいるのです」と、彼女はイベントで語った。
児童婚を終わらせるためには、次のような働きかけが必要になるだろう、とアリザデさんは述べている。
まず最初に、娘たちには結婚以外の可能性があるということを、家族が理解する必要がある。次に、地域や宗教の指導者が伝統を変えようとしなければならない。そして最後に、各国政府が、児童婚を止めさせる地域プログラムを支援する必要がある。
児童婚の犠牲者を助ける弁護士になりたいと考えているアリザデさんは、将来の夢についてこう語った。
「他の少女たちを支援するため、母国に戻りたいと考えています。自分の可能性を知ってもらい、将来のビジョンを持てるよう、少女たちを助けたいのです」
ハフポストUS版に掲載された記事を翻訳しました。
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