南アフリカの極端な格差が一目で分かる航空写真

「対話が生み出されることを望んでいます」
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JOHNNY MILLER/REX SHUTTERSTOCK
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南アフリカ共和国ダーバンのウムゲニ川に沿った緑豊かな河岸斜面にあるパプア・セウゴルムゴルフ場。6番ホールのティーから数十メートルのところに非公式居住区が広がっているなんておよそ信じられないだろう。低いコンクリート塀で、丁寧に手入れが行き届いたフェアウェイと粗末なブリキ小屋が分離されている。

「人々の暮らしの格差は地上からは分かりづらいことがあります」と、写真家のジョニー・ミラーは語る。「空を飛べる素晴らしい点は異なる視点で物事を見られることです。実際の状況を目にできます」

この異なる視点は、ミラーの「Unequal Scenes」(不平等な現場)プロジェクトは、貧富の格差をありのままに捉えた航空写真で見られる。ミラーの作品は、南アフリカ共和国の住宅地に焦点を当てた。南アフリカは50年近く人種隔離政策(アパルトヘイト)が続いた国だ。ミラーの写真には、分断された区域がはっきりと写し出されている。ゴルフコースに接近して建ち並ぶ粗末な小屋の集落や、窮屈なスラム街に沿って広がる住宅開発地区を空から見下ろしている。

「アパルトヘイト時代に、都市空間の分離が進んだ」と、ミラーは写真解説で述べている。「人々を隔離するため道路や川、緩衝地帯の空き地、その他の障壁が建設され、改築された。アパルトヘイト撤廃から25年、その多くの障壁やそこで生み出された不平等は未だに存在している。多大な富と特権を持つコミュニティが、粗末な小屋が窮屈に建ち並ぶ居住区のわずか数メートルの場所に作り出される」

『Unequal Scenes』の目的は、経済格差の現実を「できるだけ客観的に」伝えることだとミラーは訴える。キャ・サンズやムーイフォンテン墓地、ミッチェル湖、ブクゼンズールなどの地区を数百メートル上空から空撮した画像は、ケープタウンやヨハネスブルク、その他の都市での不平等状態について、語るよりも多くのことを伝える。

「対話が生み出されることを望んでいます」と、ミラーは語る。「それによって建設的、平和的な方法で不平等と公民権剥奪の問題に取り組むことができるのです」

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南アフリカのサントン。ヨハネスブルグ証券取引所と南アフリカの主な金融機関の本社がある。ハイウェイの向かい(道路を越えてすぐ)はアレクサンドラ居住区。数十万人の黒人アフリカ人が住む掘っ建て小屋やホステル(炭鉱労働者が使用した大型共同住居)、住宅が無秩序に並ぶ、犯罪が多発する都市型居住区だ。隣接するサントンはほぼ白人の街。
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ヴィジムジ / ムーイフォンテン墓地。ヴィジムジ居住区は悪臭を放つ小川、巨大墓地があり、やや裕福な2つの郊外住宅地に囲まれている。約8500軒の粗末な小屋に3万人以上の人々が暮らしている。その小屋の上空には、ヨハネスブルグの他の地域へ電気を供給する高圧送電線が通っている。しかし、ヴィジムジには電気が通っていない。
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ノムザモ /ルワンドル。ケープタウンの約40キロ東にあるストランドとサマーセット・ウェストに隣接する居住区。もともと、アパルトヘイト時代にホステル系の宿泊施設に独身労働者が住むための地区だった。今では人口6万人以上のかなり大きな郊外住宅街になっている。2014年にケープタウン市はN2ハイウェイに沿って建てられていた小屋から多くの居住者を強制撤去して暴力的衝突が発生したが、同市はすぐに方針を変更し、土地の別区画に一部の小屋を再建した。明確な緩衝帯用の土地があり(塀で補強されている)ストランドの富裕層住宅とノムザモ / ルワンドルを分離している。再建された小屋の多くはこの緩衝帯の土地にある。
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キャ・サンズ / ブロウネスランド。ブロウネスランドは葉の生い茂る樹木と木陰のある街角、プールがたくさん並ぶ中流階級の郊外住宅地。不動産サイト「Property24」で検索すると、住宅価格は100万ランド(約700万円)以上することが分かる。通りの向かいに、屋根の上に車のタイヤがのったブリキ小屋が広がっている。さらに詳しく見ると、キャ・サンズの大通りは近隣の小川からあふれる真っ黒で不潔な水が流れる排水溝だ。
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マシプメレレ / ミッチェル湖。ケープタウン中心地から20kmのところにあるミッチェル湖の輝く水面に面した美しい郊外住宅地。湿地帯と警備員詰所、電気柵をはさんだとろこに隣接するマシプメレレは、ひしめくブリキ小屋に3万8000人が暮らす全くの別世界だ。警察署はなく、昼間だけ開いている小さな診療所が1軒あるだけ、人口の最大約35%がHIVか結核に感染していると推計されている。
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ハウト・ベイ / イミザモ・ イエトゥ。ハウト・ベイはケープタウンの南約15kmにある美しい盆地。
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ブクゼンズール/ スウィート・ホーム。ケープタウンのスウィート・ホームはもともとレンガなどの建築がれきの廃棄場だった。現在でも同居住区の南端辺りで廃棄物がリサイクルされている。サービスや状況は劣悪だ。北側に隣接するブクゼンズールは、南アフリカ人向けの手ごろな価格の住居を提供する機構と協力して開発された。この2つの住宅街の差異は明らかだ。
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サントン 南アフリカの経済の中心地。
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ケープタウンのマネンベルフ/ フォーラ・パーク

ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。

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