南アフリカ共和国ダーバンのウムゲニ川に沿った緑豊かな河岸斜面にあるパプア・セウゴルムゴルフ場。6番ホールのティーから数十メートルのところに非公式居住区が広がっているなんておよそ信じられないだろう。低いコンクリート塀で、丁寧に手入れが行き届いたフェアウェイと粗末なブリキ小屋が分離されている。
「人々の暮らしの格差は地上からは分かりづらいことがあります」と、写真家のジョニー・ミラーは語る。「空を飛べる素晴らしい点は異なる視点で物事を見られることです。実際の状況を目にできます」
この異なる視点は、ミラーの「Unequal Scenes」(不平等な現場)プロジェクトは、貧富の格差をありのままに捉えた航空写真で見られる。ミラーの作品は、南アフリカ共和国の住宅地に焦点を当てた。南アフリカは50年近く人種隔離政策(アパルトヘイト)が続いた国だ。ミラーの写真には、分断された区域がはっきりと写し出されている。ゴルフコースに接近して建ち並ぶ粗末な小屋の集落や、窮屈なスラム街に沿って広がる住宅開発地区を空から見下ろしている。
「アパルトヘイト時代に、都市空間の分離が進んだ」と、ミラーは写真解説で述べている。「人々を隔離するため道路や川、緩衝地帯の空き地、その他の障壁が建設され、改築された。アパルトヘイト撤廃から25年、その多くの障壁やそこで生み出された不平等は未だに存在している。多大な富と特権を持つコミュニティが、粗末な小屋が窮屈に建ち並ぶ居住区のわずか数メートルの場所に作り出される」
『Unequal Scenes』の目的は、経済格差の現実を「できるだけ客観的に」伝えることだとミラーは訴える。キャ・サンズやムーイフォンテン墓地、ミッチェル湖、ブクゼンズールなどの地区を数百メートル上空から空撮した画像は、ケープタウンやヨハネスブルク、その他の都市での不平等状態について、語るよりも多くのことを伝える。
「対話が生み出されることを望んでいます」と、ミラーは語る。「それによって建設的、平和的な方法で不平等と公民権剥奪の問題に取り組むことができるのです」
ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。