イオンは16日、 グループの管理職に占める女性の割合を、2020年をめどに現状の7%から50%へ引き上げる方針を明らかにした。女性が活躍している会社として評価の高い日本IBMや資生堂でも、その比率は30%以下であり、実現すれば自民党が政権公約で掲げている「女性力の発揮」のモデルケースになるだろう。
朝日新聞は以下のように報じている。
岡田社長は、毎年男性とほぼ同じ数の女性を採用しているのに結婚や出産を機にやめる女性が多いとしたうえで、「採用や育成の面で非効率で、生産性を低下させる大きな要因だ。転勤や勤務パターンについて、あまりにも配慮がなさ過ぎた」と述べた。能力のある女性が働き続け、管理職に多く登用できるようになれば、グループ全体の力も強くなるとみている。
(朝日新聞デジタル 2013/05/17)
岡田社長が「配慮がなさ過ぎた」と言うように、多くの女性にとって日本は「働きにくい国」であることは自他ともに認めるところだ。今年3月にイギリスのEconomist紙に掲載された「女性にとって一番働きやすい国はどこ?」という記事では、経済協力開発機構(OECD)の調査データをもとに、先進国26カ国について「高等教育を受けた男女の人数」、「働く女性の割合」、「男女の賃金格差」、「管理職に占める女性の割合」、「賃金に対する育児費の割合」の5項目でランキングづけしているが、日本は26カ国中25位、つまり下から二番目という不名誉な順位になってしまった。
上位国をみると、ニュージーランドを筆頭に、ノルウェー、スウェーデン、フィンランドなどの北欧勢の名前が目立つ。記事の中では「あなたが働く女性ならニュージーランドに引っ越すべき。それがだめなら北欧へ」とまで言っている。
イオンの「女性管理職50%」目標はとても素晴らしいと思うが、数値ありきで組織が変わらなければ意味がない。女性が(もちろん男性も)育児と仕事を両立したり、ワークライフバランスに納得できる環境づくりの方が優先事項だ。たとえ目標値を2020年までに達成できなかったとしても、一人でも多くの女性たちが「働きやすくなった」と実感できるような成果を着実に積み重ねていけば、誰もイオンを責めたりはしないだろう。
ニュージーランドや北欧諸国を驚かせるような、日本のリーディング・カンパニーになってくれることを期待している。
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