アクティブラーニングは教師の知恵と体力勝負か

昨今、アクティブラーニングは一つのキーワードとなっており、以前より気になっていました。

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地元の小学校で行われたアクティブラーニングを基にした公開授業を見学させて頂きました。昨今、アクティブラーニングは一つのキーワードとなっており、以前より気になっていました。

言葉の意味としては、教師が一方的に授業をして生徒がメモしていくパッシブ(受動的)な形ではなくて、生徒が自分の頭で考え、自分の言葉で答えを発表していくといったアクティブ(能動的)な形で授業を展開していくというニュアンスのようです。

なるほど、1年生から6年生の各クラスがそれぞれテーマを設定して、生徒同士が議論し、発表し合っておりました。その中で私が興味を持ち、最初から最後まで拝見していたのが3年生某クラスの「お店にお客様が来るために効果的な方法は何か」といったテーマを設定して、それを皆で話し合っていく授業でした。

一応、答えは3つ設定されていました。「宣伝する」「駐車場を広くする」「商品数を増やす」です。

この3つの内、どれが最もお店にお客様を呼べるかを生徒たちが議論し発表していました。

例えば・・・

生徒A 「私は駐車場を広くすることだと思います。なぜなら、広くしないと車が入れないので他の店に行ってしまうからです」

教師 「なるほど、他の店に行ってしまうかもね!他に意見は?」

生徒B 「私は商品数を増やすことだと思います。なぜなら、アンケートを見ると駐車場が広いから店に行くという理由が上位に入っているからです」

教師 「確かにアンケートでは上位にきてるね!誰か別の意見あるかな?」

生徒C 「私はチラシをまいて宣伝するほうが先決だと思います。いくら駐車場が広くても、商品数が多くても宣伝しなくては誰も来てくれないからです。」

といった流れです。

私は、「宣伝する」が答えかなと思っていたのですが、授業ではどれが正しいかは示されませんでした。当然ですね、もしかしたら全部やらないとお客様が来ないかもしれませんし、全部やっても来ないかもしれません。答えがない問いに自分で仮設を立てて考えて議論するのがアクティブラーニングですから。

驚いたのが授業の最後に、その小学校の目の前にある大手スーパーの店長からメッセージを貰っていたことです。

教師 「さて、ここで本物のプロからメッセージが来てるよ。目の前にある大手スーパーの店長さん。プロはどんな考え方をするんだろうね。読んでみるよ。」

店長メッセージ 「クラスの皆さん、昨日はスーパーの見学お疲れ様でした。難易度の高い問題に取り組んでおられますね。さて、私たちは・・・(以下省略)」

もちろん、店長さんもどれが答えかは明言されませんでしたが、現場のプロフェショナルの方のコメントも取ってくる授業に私自身も引き込まれました。生徒も自分たちの答えが正しいのか否か、気になるようでそのコメントの時はシーンとしていました。

今後はこういったアクティブラーニングが積極的に授業に取り入れられていく時代になるとのことですが、ふと懸念したのが教師の労力でした。

昨今、教師の激務な労働環境が問題となっていますが、アクティブラーニングの授業を見た限り、相当な準備時間が必要と感じました。そして生徒が自分で考えて発表するように導くには、教師自身がどう授業で振る舞えばいいかといった知恵も必要です。

子供達の未来のためにこのアクティブラーニングは効果的、と私は今回の公開授業で感じましたが、一方でアクティブラーニングは教師にとっては知恵と体力が今まで以上に求められる時代になると感じました。

東猴史紘