可愛らしい子犬を段ボールに入れて捨てる親子。母親が「親切な人に見つけてもらってね」と言った瞬間、「優しそうに聞こえても、これは、犯罪者のセリフです」とナレーションが入る。
これは日本動物愛護協会を支援するために7月1日から始まったACジャパンのCMキャンペーン「犯罪者のセリフ」だ。
テレビ・ラジオのCMや、新聞広告、駅貼りポスターなどで動物の遺棄・虐待が犯罪であることを訴える。2019年7月から放送されていた「にゃんぱく宣言」に代わる形で1年間放送されるという。
SNS上では「パンチが効いていてとても良い」「初見、びっくりしたけれどその通りだよね」などと反響が広がっている。
■ あえて世界観を壊すようなメッセージを
ACジャパンの公式サイトでは、このCMの意図について、次のように書いている。
「『動物を遺棄することは、犯罪です』とメッセージしても、実際にはなかなか伝わらないのが現状です。そこで、この広告では動物を遺棄する現場のセリフとして共通認識のある『親切な人に、見つけてもらってね』というセリフを、犯罪者のセリフとして設定しています。絵本のような優しい世界で、あえてその世界観を壊すようなメッセージを伝えることで、ギャップとその衝撃が動物遺棄の抑止力となることを狙った企画です」
テレビ・ラジオのCMと新聞広告は、ACジャパンの公式サイトで視聴することができる。
■どうしても飼えなくなった場合には、どうすればいいのか?(UPDATE)
今回の記事掲載後、ハフポスト日本版には「今回のCMにあるように何らかの事情で、どうしてもペットを飼うことができなくなった人はどうすればいいのか?」という質問も寄せられた。
そこで、日本動物愛護協会の廣瀬章宏事務局長にアドバイスを求めたところ、以下のような回答だった。
「協会には飼えなくなったという相談も多数寄せられます。話を聞くと多くの理由が、ペット不可の物件で飼育をしていた、思ったより大きくなった、慣れなくて可愛くないなど、ほとんどが無責任な人間の都合です。動物たちの幸せは飼い主にかかっていますので、まず飼う前に終生飼養、適正飼養ができる環境なのか、もしもの時の受け皿はあるのかなどを、きちんと考えてから飼っていただきたいです。どうしても飼えない場合は、まずは飼い主が命を預かっているという責任において率先して動かなければ、誰も動いてはくれません。個々の事情はあると思いますが、その子の命がかかっているので努力を惜しまないでください。親戚、友人、知り合いなどに幅広く声をかけ、また、お住まいの地域の動物愛護センター、動物愛護団体への相談、かかりつけの動物病院にチラシを貼らせてもらうなどの方法はあります。動物たちにとって、飼い主が変わるということは大変つらいことです。衝動飼いなどせず、捨てるという選択は絶対にしないでください」
(UPDATE 2020/07/03 18:42)