PRESENTED BY Accenture

「あの人、もう帰ったの?」と言われた10年前。世界最大級のコンサル企業にも、課題は山積だった。

会社には、社会の課題が詰まっている。D&Iを理想で終わらせない環境は、作れるのか?アクセンチュアに聞いた。
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JULIE FUKUHARA

「働きやすさって、一人ひとり違うはず。1万人以上の組織で、どうやって実現させるんですか?」

失礼ながら、ある企業のD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)担当者にこんな疑問をぶつけてみた。

性別や年齢、家庭環境、国籍、障がい、希望するキャリア、得意分野...。「職場」という空間には、様々な「違い」「個性」が溢れている。大きな組織では、なおさらだ。

企業のD&I活動においては、「自分らしさが発揮できる職場を」「一人ひとりに合った、働きやすさを」などと掲げられるが、それはただの「理想」なのだろうか?

「できないこと」に直面した時、あなたの職場では?

「ジェンダー平等」「LGBTQへの理解」「男性育休」「多国籍化」「障がい者のキャリア」...日本の企業(というより、社会)には、向き合うべき課題が山積している。

そんな中、「I&D(インクルージョン&ダイバーシティ)」推進を経営戦略の一つとし、誰もが自分らしく働き、平等に機会を得られるよう取り組みを進めている企業がある。世界最大級のコンサルティング・ITサービス企業、アクセンチュアだ。

日本オフィスだけでも、約1.6万人の社員が在籍する同社。それぞれの「働きやすさ」は、どのように叶えられてきたのだろうか。そもそも、そんな職場はあるのだろうか...。多様なバックグラウンドを持つ、5人の社員に聞いた。

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JULIE FUKUHARA
<出演者紹介>(写真左から。記事内では敬称略)

任暁薇さん:テクノロジー コンサルティング本部 マネジャー。中国出身で、大学入学を機に来日。2008年に新卒でアクセンチュア入社。二児の母。

溝川貴大さん:テクノロジー コンサルティング本部 マネジャー。三児の父。計3回の育児休業を取得。家庭と両立し、部内のワーキングペアレンツの相談も引き受けている。

市本真澄さん:テクノロジー コンサルティング本部 I&Dサブリード。アソシエイト・ディレクター。I&D全般担当しているが、主にワーキングペアレンツやPwD(障がい者)支援に携わる。

福嶋剛さん:テクノロジー コンサルティング本部。人材・組織領域のシステムコンサルタント。2018年、アクセンチュアに転職。社内LGBTネットワークの推進メンバーで、ゲイであることをオープンにしている。
 
古関千華子さん:テクノロジー コンサルティング本部。中学校の講師を経て、2019年にアクセンチュア入社。右手上肢に障がいがある。

── みなさんが考える「働きやすさ」とは?

溝川 「働くとは、こうである」の押し付けがないこと。自分が思う「働き方」が認められると、自然と他の人を思いやったり、いろんな「違い」をリスペクトしたりできるのだと思います。

福嶋 私も同じで、働く環境として「こうあるべき」がなく、働き方も今後のキャリアも、自分の好きなように選択をしていける職場が、私が考える「働きやすさ」です。 

古関 私は障がいがあるので、生活する中でどうしても「できないこと」に直面します。その時に、誰かに頼んだら力を貸してもらえたり、他の方法が選べたり、「できないこと」をストレスなく受け入れられる環境が「働きやすさ」です。

薇 私は外国人であり、子育てをしながら働く母親でもあります。困った時や、心細さを感じた時に声を上げれば、誰かの協力を得られて、柔軟に働き方を調整できる、ということがありがたいです。

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*取材はリモートで実施。撮影時のみ、会話を控えた状態でマスクを外しています。
JULIE FUKUHARA

「あの人、もう帰ったの?」と言われた10年前

──みなさんの「働きやすさ」が実現されるまでの道のりは?  

溝川 ここ数年で、大きく変わりましたね。私が最初の育休から復帰し、時短勤務を始めた10年前は、「あの人、もう帰ったの?」と言われることもありました。制度はあったけど男性社員は使っていない人がほとんどで...。 

でも今は、男性が育休をとることにもハードルがない。周りがとってるから自分もそうしようと、自然に思える環境にようやくなってきましたね。これは2015年に始まった「Project PRIDE」という、アクセンチュア独自の働き方改革が大きく影響しているように思います。

市本 私も、出産後に「もう戦力にはなれないな...」なんて思ったものです。正直、後ろめたさもありました。でも、もう「夜遅くまで働かなければ、一人前じゃない」というカルチャーではないですよね。もちろん、成果創出に向けて努力する姿勢は変わりませんが、自分の経験や個性を、どういう形で会社に還元するか考えるようになりました。

そういう環境になったのは、溝川さんも触れている「Project PRIDE」に加えて、「マインドセットではなく、まずは行動から変えよう、声を上げよう」という社風があったから。溝川さんが育休を取得したのもそう。「女性活躍」の分野では、男性と比較して女性は出世意欲を表に出さない傾向にあったので、「自分の意欲を表に出そう」と働きかける取り組みを進めました。その結果、今では男性育休取得率は約40%、管理職における女性比率は約17%になりました。

声を上げれば本当に変わるんだ、と実感できることが、会社への信頼や安心感につながり、さらに声を上げやすくなる。こうして、いろんな声が集まり、一人ひとりの「働きやすさ」が実現される好循環が生まれてきたのだと思います。

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JULIE FUKUHARA

薇 日本の企業は「年功序列」「仕事が細分化されている」というイメージでしたが、アクセンチュアは、色んな意味で自由度が高い。だからこそ声を上げようと思えるし、チャレンジしたくなる。それが、会社だけでなく個人の成長にもつながるんですよね。

私が入社した13年前は男性社員が多かったので、女性同士で情報交換できる機会が少なかったですし、外国籍の社員はなおさらでした。会社が「I&Dを推進しよう」とまずは行動を起こして環境を変えてきたことで、さまざまな意見交換の場が生まれて、そこでのアイデアがプロジェクトに生きたり、働き方やキャリアへのインスピレーションにつながったりしています。

古関 私は、自分の「何ができる」「何ができない」を知りたくて、いろんなプロジェクトに携わらせてもらっていますし、IT未経験で入社したので、テクノロジーの基礎を学ぶ研修にも自ら手を挙げて参加しました。

本来はエンジニア向けの研修ですが、「未経験の人にもテクノロジー分野で活躍してほしい」という会社の方針もあり、参加することに。障がいを理由に諦めることなく、挑戦できる環境なんです。

参加後、「わかりにくかったところは?」「もっと参加者を増やすには?」と会社がヒアリングしてくれたので、意見を言いやすかったですし、伝えたことがちゃんと反映されると「自分の声で、環境って変えられるんだ」と実感できますよね。

福嶋 声を上げれば何かが変わる、というのは私もすごく感じます。例えばLGBTQコミッティ主催のイベント。LGBTQの認知は一定数ありますが、全社員が認識しているわけではありません。そこで、定期的にLGBTQ関連の課題を発信できないか社内で相談したところ、現在では月次でイベントを開催できるようになりました。年次や役職、所属部門に関係なく多くの社員が参加してくれています。

溝川 「育児中の会」という1000人超のオンラインコミュニティがあるのですが、ワーキングペアレンツだけでなく、育休中の社員や、子供がいない社員も入っています。安いオムツの情報から会社の制度まで、話題はさまざま。そういう“ゆるい”コミュニティで上がった小さな声も、ちゃんと会社に届くカルチャーができています。

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JULIE FUKUHARA

「職場環境が、キャリアだけでなく生き方を変えるきっかけに」

── そんな環境で働いているからこそ、改めて気づいた「自分らしさ」はありましたか? 

古関 私は、初めて障がいを「自分らしさ」だと受け入れられてオープンにすることができ、世界が明るくなった感覚があります。

市本 古関さんのことは採用面接の時から知っていて、入社後もピープルリード(旧称:キャリアカウンセラー)としてずっと見てますけど、笑顔が増えたし、雰囲気も発言も本当に変わりましたよ。自信がついたんだなって。

古関 入社当初は、障がいのあるメンバーが多い、後方支援のようなプロジェクトに入れてもらっていたんです。でも、声を上げればちゃんと拾ってもらえたり、「できないこと」があっても周りがサポートしてくれたりするので安心感と自信が得られて、今はお客様向けのプロジェクトにも挑戦しています。

福嶋 その安心感って、アクセンチュアならではだと思います。私がカミングアウトをしたのは入社面接の時でしたが、それはLGBTQアライ(LGBTQ当事者に共感し、寄り添いたいと思う人)が「可視化」されていたからなんです。アライ登録をした社員はレインボーカラーのネックストラップを身につけているので、「こんなにアライがいるんだ。ここなら、本当の自分でいられるな」と安心できました。

本当の自分を隠していた頃は、「福嶋、いつも言ってること違うな」と思われていただろうし、自分でも発言に説得力がないなと感じていました。アクセンチュアに入社してからは自分の発言や仕事に自信を持てるようになって、キャリアの明確な目標が見えました。それに、友人にもカミングアウトできたんです。職場環境が、キャリアだけでなく生き方を変えるきっかけにもなりました。

溝川 私も、育休前後で「自分らしさ」のあり方がガラッと変わりました。育休から復帰した当時、家庭との折り合いが上手くいかず、上司に相談したんです。そうしたら、「今家庭が大変な時期ならば、時短で働いてみたら?長い社会人人生で見たら大差ないよ」と。

その言葉に背中を押されて、「家庭が大変な時期は、家庭を最優先にしよう」という考えに変わりました。 

薇 私は子どものお迎えや家事で仕事を抜けることがありますが、その分、子どもを寝かしつけた後に仕事することも。仕事と家庭の両立は簡単ではありませんが、ライフステージに合わせた働き方をチームメンバーも理解してくれて、サポートしてくれるのがとてもありがたいです。

以前は、自分が不得意なことを言えない雰囲気もあったのですが、I&Dの成果なのか、環境が大きく変わったなと思っています。

市本 そういう「自分らしさ」「本当の働きやすさ」を、一緒に見つけていける会社でありたいですよね。私たちは、会社の課題を解決していくのが本業ですから...(笑)。

キャリアカウンセリング制度も、大小さまざまなコミュニティも、縦と横のつながりで、垣根を超えて会話ができる環境になっています。そのきっかけを作ったのは会社ですが、この土壌を育ててきたのは社員みんなの声。会社と社員の間に信頼やリスペクトがあることが、アクセンチュアのI&Dをさらに推進させていくのだと思います。

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JULIE FUKUHARA

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D&Iを「理想」で終わらせないために。アクセンチュアでは1.6万人の「声」が、会社を、そして社会を変えていこうとしている。