アメリカのアラバマ州で5月15日、人工妊娠中絶をほぼ全面的に禁止する法案が成立し、全米で波紋を呼んでいる。
法案は「人命保護法」と名付けられ、妊娠何週目であっても中絶を禁止する。性犯罪や近親相姦などによる望まない妊娠をした場合でも中絶は認められず、中絶手術をした医師は10年以上、最大で99年の禁固刑が科せられる。
AFP通信によると、母体の生命に危険がある場合や、胎児が致死的な状態にある場合のみ中絶が認められるという。
ワシントンポスト紙などの米メディアは、この州法案を「全米で最も厳しい中絶禁止法」と称している。
14日、アラバマ州上院はこの法案を賛成25、反対6で可決。ガーディアン紙によると、賛成した25人は全員共和党の白人男性だった。
中絶禁止法が次々と成立 強い反発も
トランプ大統領は中絶への反対姿勢を示しており、ミシシッピ州やジョージア州など、キリスト教保守派の影響が強い南部で次々と中絶禁止法が成立している。
性犯罪の被害者でも中絶が認められない厳しい州法には批判の声が高まっており、人権団体が「女性や医師を危険にさらしている」などと抗議している。
『バイオハザード』シリーズなどで知られる俳優のミラ・ジョヴォヴィッチさんは、自身のInstagramで中絶体験を告白。「中絶は悪夢です。どんな女性でも経験したくない。でも、それが必要とされる時に、安全な中絶手術を受けられる権利を確保しなくてはいけない」と訴えた。