アベノミクス倒産、中小企業の交渉力も問題か〜運送業の事例から

円安による経営悪化が原因の「アベノミクス倒産」は、運輸業界で増えているようだ。しかし、運輸業の問題は、円高だけでなく業界構造でもあるのかもしれない…
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財務省は30日、全国財務局長会議を開き、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」が地方経済にも波及しているかを議論した。会議では、今年4〜6月の各地域の経済情勢について、東北以外の10地域については上方修正し、全国総括判断では「緩やかに持ち直している」とした。MSN産経ニュースによると、先行きについては景気回復に期待しつつも、「原油高」や「世界経済の下振れ」をリスクとして警戒しているという。

企業の採算悪化に繋がる燃料の高騰は、円安が大きな原因になっている。アベノミクスによって自動車輸出など円安で恩恵を受ける企業は多いが、反対に、急激な円安による材料輸入費が経営圧力になる企業もあるからだ。なかには、商品やサービスにコスト高を転嫁できず倒産する企業もあり「アベノミクス倒産」と呼ばれることもあるようだ。

帝国データバンクの調査によると、2013年6月の倒産件数のうち、運輸・通信業については前年同月比20%超の大幅増加となっているという。原因は燃料費の高騰によるものだ。体力のある大企業ではなく、中小企業の倒産が多くなっていることもポイントとしてあげられている。

燃料費の高騰をサービスや原料費に転嫁できるよう、国土交通省は「トラック運送業における燃料サーチャージ緊急ガイドライン」を2008年に作成した。航空業界には定着した感のある燃料サーチャージだが、トラック業界では9割が中小企業のため、価格交渉力が弱く、なかなか導入に結びついていない。

それでもガソリン代は上がる。資源エネルギー庁のデータによると、7月31日に発表した調査では、1リットルあたりのレギュラーガソリン店頭価格(全国平均)は7月1日の152.0円に対し、7月29日は158.8円で、1カ月で約7円も上がっている。軽油も7月1日の131.9円に対し、7月29日は137.1円と約6円上がっている。

なお、燃料費をサービス転嫁できないのは、消費者にも問題があるのではないかという指摘もあるようだ。

消費者としてはインターネットショッピングの送料無料や、割安な宅配便など、なんとか安くサービスを受けたいと思うものだ。あなたは運送業の燃料サーチャージ導入に賛成だろうか?ぜひご意見をお寄せください。

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