アベノミクス効果で新規公開株ブーム、過熱を懸念する声も

日本企業株の新規公開(IPO)が今年、2007年以来の高水準に達する見込みだと、ブルームバーグが報じている。実際それらの銘柄はことごとく初日に急騰、平均131%の公開日伸びを示してもいる。しかしこのIPOブームは、日本経済の好調を意味するのであろうか。
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A pedestrian is reflected in the window as he looks at a quotation board flashing the Nikkei key index of the Tokyo Stock Exchange (TSE) on September 18, 2013. Tokyo stocks rose 1.81 percent in morning training on September 18, encouraged by gains on Wall Street as investors await the outcome of a Federal Reserve policy meeting. AFP PHOTO / KAZUHIRO NOGI (Photo credit should read KAZUHIRO NOGI/AFP/Getty Images)
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アベノミクス効果でIPOブーム? それでも海外投資家が不安視する理由とは

日本企業株の新規公開(IPO)が今年、2007年以来の高水準に達する見込みだと、ブルームバーグが報じている。実際それらの銘柄はことごとく初日に急騰、平均131%の公開日伸びを示してもいる。しかしこのIPOブームは、日本経済の好調を意味するのであろうか。

【絶対もうかる新規株】

野村ホールディングスの予測によると、今年約60社がIPOを行ったか、年末までにそうする予定であり、2007年の121 IPO以来最大だ。さらに、来年にも約80社が公開予定だという。IPO数は2000年には203に達していたが、景気後退や2006年のライブドア事件に伴って減少していた。

ブルームバーグによると新規株は特に個人投資家に人気で、11月8日までの週には、東証マザーズ取引額の71%を国内の個人投資家が占めていた。今年公開済み銘柄の約80%は公募価格以上で取引されている。確実に儲けが期待できるだけに新規株の応募競争は熾烈で、「宝くじに当たるようなもの」だという。

【株バブルに見え隠れする懸念】

しかしIPO市場の過熱を懸念する声もある。例えばシステム情報株式会社は19日の終値が2729円、先月の上場直後には6060円に達していたが、2014年9月期の1株当たり予想利益は71.35円に過ぎない。ブームは12月にも終わる可能性があると考える専門家もいる。

一方、ブームがまだしばらく続くと考える専門家も、その理由は「現在の停滞した市場で投資先企業に困っている投資家が、簡単な収益機会としてIPOに殺到している」というものだ。東証株価指数TOPIX銘柄の平均取引量は、5月の46億株から10月は24億株に減少している。

また、ブルームバーグはIPO数と株式市況は相関が薄いとも指摘している。2000年以来、日本のIPO数が60を超える年は8年あったが、次の12ヶ月でTOPIXが落ちたことが4回、上がったことが4回であった。

【5月がピークだった日本市場】

IPOが過熱する一方で、フィナンシャル・タイムズ紙は、日本の構造改革の遅れから、海外投資家が将来を不安視し始めていると報じているた。10月には、7月以来初めて、日本でのエクスポージャーが削減され始めた(ハイリスクな金融資産から撤退し始めた)という。TOPIXは9月までの4四半期で62%の急騰とは言え、専門家が「アベノミクスの通知表」とするTS倍率(TOPIX÷S&P 500)は最近、下落している。

同紙は「1年前に始まった回復は、米国の(量的緩和)縮小懸念が世界市場を揺さぶっていた5月下旬のピークを再現するには至っていない」と評している。2020年オリンピック開催決定も、財政規律のための消費税増税決断も効果はなく、アナリストらは日銀の追加緩和発表など「何かが起こってくれないといけない」と考えているという。

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