安倍首相、ノーベル賞へのトランプ氏推薦報道に「推薦者と被推薦者は50年明らかにされない」コメント避ける

衆院予算委員会の集中審議で、国民民主党の玉木雄一郎代表の質問に対して、コメントを避けました。
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安倍首相
時事通信社

安倍晋三首相は2月18日、アメリカのトランプ大統領をノーベル平和賞候補に推薦したとする報道について、「ノーベル委員会は推薦者と被推薦者を50年間は明らかにしない」ことを理由に、コメントを避けた。

衆院予算委員会の集中審議で、国民民主党の玉木雄一郎代表の質問に答えた。

一連の事案では、トランプ大統領が2月15日にホワイトハウスで開いた記者会見で、安倍首相から「ノーベル平和賞に推薦された」と主張。朝日新聞などが日本政府関係者の話として、アメリカ政府から非公式に依頼を受けて実際に推薦していたと報じた。 

この件について事実関係を問われた安倍首相は、「拉致問題の解決についても、ホワイトハウスをあげて積極的に協力をしてもらっている」などと前置きした上で、次のように答弁した。

「ノーベル平和賞は、ノーベル委員会は推薦者と非推薦者を50年間は明らかにしていないことを踏まえて、私はこの方針に乗っ取って、コメントを差し控えたい」

玉木氏から、報道の真偽を問われると「事実ではないということを申し上げているのではない」と否定しなかったが、先ほどと同じ答弁を繰り返し、核心に触れなかった。

これに対して玉木氏は、推薦が事実だった場合「北朝鮮との関係において、我々の極東アジアが平和になっていると総理が認識しているとしたら問題だ」「対外的に与えるメッセージは、間違ったメッセージになる」と批判した。 

やり取りの全文は、以下の通り

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玉木氏:事実関係を教えてください。事実であるとすれば、どういう理由で推薦したのか教えてください。

安倍首相:トランプ大統領は北朝鮮の核ミサイル問題の解決に向けて、果断に対応しております。昨年歴史的な米朝の首脳会談を行いました。その際には、拉致問題について、私の考え方を直接、金正恩委員長に伝えていただいたわけですし、その後も、拉致問題の解決についても、ホワイトハウスをあげて積極的に協力をしていただいてるのは事実です。私もトランプ大統領とともに、手をたずさえ、北朝鮮の核ミサイル問題、そして我が国にとって最重要課題の拉致問題の解決に向けて、引き続き全力を尽くして参ります。

その上で申し上げれば、ノーベル平和賞は、ノーベル委員会は推薦者と非推薦者を50年間は明らかにしないこととしていることを踏まえまして、私からはこの方針に乗っ取って、コメントを差し控えたいと思います。

玉木氏:一部報道されていることは、事実ではないということですか?

安倍首相:すでに答弁を申し上げました。事実ではないということを申し上げているのではなく、繰り返しになりますが、トランプ大統領は北朝鮮の核・ミサイル問題解決に向けて果断に対応されているわけでありまして、トランプ大統領のリーダーシップを私は高く評価しています。

北朝鮮の核ミサイル私もトランプ大統領とともに、手をたずさえて、北朝鮮の核ミサイル問題、そして我が国にとって最重要課題である拉致問題の解決に向けて、引き続き全力を尽くして参ります。

その上で申し上げれば、ノーベル平和賞について、ノーベル委員会は推薦者と非推薦者を50年間は明らかにしないこととしていることを踏まえ、私からコメントすることは差し控えたいと思います。

玉木氏:していなければしていないと言えばいいわけです。推薦者を明らかにしちゃダメということなので、推薦していなければしていないと言えばいいわけで、言えないということはしていたということだと思います。

問題なのは、総理がもししていたとしたら、今の北朝鮮の状態が平和だと、北朝鮮との関係において、当該地域、我々の極東アジアが平和になっていると総理が認識しているとしたら、問題だと思いますね。拉致も核も、そして、近距離・中距離も含めたミサイルの問題はなんら解決していません。

もしこれで、ノーベル平和賞を推薦したとすればですよ。総理の北朝鮮に対する認識は、甘いと言わざるを得ない。 そのことが対外的に与えるメッセージは、間違ったメッセージになるということを強く思います。

一昨年末に閣議決定したイージスアショアを導入するときの、閣議決定ですね。北朝鮮は差し迫った新たな脅威としていますよ。その状況の中で、トランプ大統領に対して、北朝鮮との脅威が緩和したということを理由に、ノーベル平和賞を推薦をするということは大きく矛盾していると思いますので、この点を指摘しておきたいと思います。

選考の流れは?

在ノルウェー日本大使館によると、ノーベル平和賞は、各国閣僚や国会議員、ノーベル平和賞受賞者らに候補者を推薦する資格がある。推薦などをもとに選考が始まり、選考委員会が候補者を5人〜20人の「ショートリスト」に絞り込んだ後、全会一致や多数決で受賞者が決める。 2012年の例では、43の団体を含む231件の推薦があった。