安倍晋三首相は、10月1日発表の日銀短観で景気動向を最終確認した後、同日夕方の記者会見で、消費税を来年4月から8%に引き上げることを表明する。MSN産経ニュースが報じた。また税率引き上げに合わせて、5兆円規模の補正予算案を編成することや、企業に対して設備投資や賃上げを促す1兆円規模の減税措置などを盛り込んだ新たな経済対策をまとめたと、NHKニュースが伝えている。増税で景気が悪化すれば安倍政権にとっては大きな打撃となるだけに、増税と経済対策を同時に発表することで景気への悪影響を最小限に抑える構えだ。
2012年8月、民主党の野田政権が、自民・公明との3党合意に基づいて、消費税率の引き上げで合意。国会で「消費税増税法」が成立した。そこでは2014年4月から8%。2015年の10月から10%と、段階的に消費税率を引き上上げることになっていたが、「経済状況の好転」が実施条件となっていた。
フジテレビ経済部・智田裕一解説委員は、FNNニュースの記事の中で以下のように述べている。
「法律では、消費税率引き上げは『経済状況の好転』を条件として実施することになっています。今月(9月)発表された今年(2013年)4~6月のGDP(国内総生産)の改定値では、物価変動の影響を除いた実質の成長率が、年率で3.8%増と高い伸びを示した。安倍首相は、こうした経済指標を総合的に勘案したうえで『増税の環境は整った』と判断するに至ったとみられます。一方で、懸念の声が上がっている景気の腰折れを防ぐため、5兆円規模の経済対策を打ち出す方針です」
なお、経済対策の焦点となった復興特別法人税の1年前倒し廃止については、公明党が「賃上げにつながるのか」と強く抵抗。これを受けて30日夜、さまざまな前提条件を付けた上で「廃止について検討する」と、玉虫色の決着となったことをMSN産経ニュースが伝えている。与党の合意文書では「12月中に結論を得る」 と記載された。
47NEWSによると、消費税率を5%から8%に引き上げた場合、2014年度の増収分は5兆1千億円になるとの政府見通しが判明。このうち半分強の2兆9500億円が、基礎年金の国庫負担分に充てられるという。
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